秋の夜長に……
「そろそろ一人で依頼を熟してみませんか?」
横島達がハロウィンの準備をする中で魔鈴は自宅で雪之丞と今日の仕事について相談していたのだが、なんと今日は雪之丞に一人で依頼を解決してもらおうとしていた
雪之丞はすでに免許を取得して半年が過ぎようとしており、本人の日頃の努力もあり簡単な依頼ならば解決する力量も判断力も備わりつつあった
魔鈴はそろそろ雪之丞にも一人で経験を積む時期が来たと判断したようである
「俺は構わないが……」
「失敗しても構いませんよ。 先方には私の弟子ということで話は通してあります」
元々一人で生きて来た雪之丞は一人での除霊経験も当然ある
まあ方法としては乱暴な解決だったかもしれないが、モグリのGSとしてはそれなりに危険な仕事も熟していたのだ
しかし魔鈴の依頼はそれらとはタイプが違い、顧客との関係を重視した依頼が多い
実際一目見ただけでも霊障がないことを見抜けるほどの依頼でも、依頼人が納得しないならば綿密な調査や張り込みを行うこともたまにあった
その辺りのやり方は唐巣と共通する部分があり、実際顧客の層は似たり寄ったりな客層が半数近くある
そんな魔鈴と唐巣の明確な違いは最低限の料金を貰うか貰わないかだろう
実際に魔鈴の顧客もさほど裕福な人は多くないが、店の常連の紹介は案外支払い能力のある人が多い
魔鈴の場合は貰える人からは貰うし、余程のことが無ければタダにはせずに気持ち程度の料金は貰っている
この辺りは考え方の違いなのだろうが、魔鈴の場合はボランティアよりは少額でも仕事とした方が依頼人も変に気を使わなくていいだろうとの配慮があった
それに唐巣ほと他人に人生を賭ける覚悟は魔鈴にはなく、偽善と無責任にボランティアをするつもりはない
中途半端と言えば中途半端だが、実際仕事に道具をほとんど使わぬ魔鈴はそれでも採算が取れている
少し話が逸れたが雪之丞は力押しの依頼は得意であり、魔鈴のようなきめ細やかな対応が出来るかは自信が無かったのだ
下手なことをして魔鈴の評価を下げることだけはしたくないらしい
「この半年、本当によく頑張りました。 それに雪之丞さんは何が大切か分かってるはずです。 失敗してもいいですから思うままにやって下さい」
少し迷いを見せる雪之丞を、魔鈴は力強い言葉で送り出していた
そしてこの日雪之丞はGSとして初めての依頼を受けることになる
「俺は運が良かったのかもしれんな」
見鬼君や簡易結界などの最低限の荷物を持った雪之丞は一人で店を後にして依頼人の元に向かうが、ふと白龍会の頃を思い出してしまう
さほど仲間意識があった訳でもないが、あの当時のメンバーが今どうしてるのだろうかと思うとGSとして再出発出来る自分は幸運に思えた
一度は人や仲間を裏切った自分が再び再出発させて貰える感謝を雪之丞は決して忘れることは無い
少し肌寒い夜風に吹かれながら仕事に向かう雪之丞は、後の世で自身が最高の霊能者と讃えられる未来が待つなど夢にも思わないだろう
横島達がハロウィンの準備をする中で魔鈴は自宅で雪之丞と今日の仕事について相談していたのだが、なんと今日は雪之丞に一人で依頼を解決してもらおうとしていた
雪之丞はすでに免許を取得して半年が過ぎようとしており、本人の日頃の努力もあり簡単な依頼ならば解決する力量も判断力も備わりつつあった
魔鈴はそろそろ雪之丞にも一人で経験を積む時期が来たと判断したようである
「俺は構わないが……」
「失敗しても構いませんよ。 先方には私の弟子ということで話は通してあります」
元々一人で生きて来た雪之丞は一人での除霊経験も当然ある
まあ方法としては乱暴な解決だったかもしれないが、モグリのGSとしてはそれなりに危険な仕事も熟していたのだ
しかし魔鈴の依頼はそれらとはタイプが違い、顧客との関係を重視した依頼が多い
実際一目見ただけでも霊障がないことを見抜けるほどの依頼でも、依頼人が納得しないならば綿密な調査や張り込みを行うこともたまにあった
その辺りのやり方は唐巣と共通する部分があり、実際顧客の層は似たり寄ったりな客層が半数近くある
そんな魔鈴と唐巣の明確な違いは最低限の料金を貰うか貰わないかだろう
実際に魔鈴の顧客もさほど裕福な人は多くないが、店の常連の紹介は案外支払い能力のある人が多い
魔鈴の場合は貰える人からは貰うし、余程のことが無ければタダにはせずに気持ち程度の料金は貰っている
この辺りは考え方の違いなのだろうが、魔鈴の場合はボランティアよりは少額でも仕事とした方が依頼人も変に気を使わなくていいだろうとの配慮があった
それに唐巣ほと他人に人生を賭ける覚悟は魔鈴にはなく、偽善と無責任にボランティアをするつもりはない
中途半端と言えば中途半端だが、実際仕事に道具をほとんど使わぬ魔鈴はそれでも採算が取れている
少し話が逸れたが雪之丞は力押しの依頼は得意であり、魔鈴のようなきめ細やかな対応が出来るかは自信が無かったのだ
下手なことをして魔鈴の評価を下げることだけはしたくないらしい
「この半年、本当によく頑張りました。 それに雪之丞さんは何が大切か分かってるはずです。 失敗してもいいですから思うままにやって下さい」
少し迷いを見せる雪之丞を、魔鈴は力強い言葉で送り出していた
そしてこの日雪之丞はGSとして初めての依頼を受けることになる
「俺は運が良かったのかもしれんな」
見鬼君や簡易結界などの最低限の荷物を持った雪之丞は一人で店を後にして依頼人の元に向かうが、ふと白龍会の頃を思い出してしまう
さほど仲間意識があった訳でもないが、あの当時のメンバーが今どうしてるのだろうかと思うとGSとして再出発出来る自分は幸運に思えた
一度は人や仲間を裏切った自分が再び再出発させて貰える感謝を雪之丞は決して忘れることは無い
少し肌寒い夜風に吹かれながら仕事に向かう雪之丞は、後の世で自身が最高の霊能者と讃えられる未来が待つなど夢にも思わないだろう