秋の夜長に……
「うわ~、私こんな高い場所に来たの始めて来たわ」
その頃この日の授業が終わった愛子と小鳩は東京タワーに来ていた
「私も始めてなんですよ。 お金がなくて学校の行事とか休んでましたから」
基本的に学校の校舎より高い建物はほとんど経験がない愛子は素直にはしゃいでいるが、小鳩も実は始めてだったらしい
一緒について来た福の神の貧と貧乏時代を懐かしむ二人も始めての東京タワーを楽しんでるようだ
「東京ってこんな景色なんだ……」
特別展望台に上がった愛子は、驚きの言葉を残し東京の街を見つめている
最近は割と学校の外に行く機会も増えた愛子だが、これほど高い場所に来たのは始めてなのだ
見慣れた街や学校の方角を見ては、自分の済む人間の街の大きさに改めて圧倒されてしまう
「どんな気持ちだったんでしょうね」
それからしばらく無言のまま街を見ていた愛子と小鳩だが、ふとした瞬間に小鳩はぽつりと言葉を発する
愛子も小鳩もこの場所の意味を知っていたからこそ、一度は来てみたかったのだ
ここにくれば何か分かるかとも思っていたのだが……
そんな小鳩の言葉に愛子は返す言葉が浮かばなかった
「えっ…!?」
しんみりとした空気が二人を支配する中、それをぶち壊したのは窓の外に見える光景である
「冥子さん?」
東京タワーの外を式神に乗った冥子がスルスルと上がって来たのだ
まさか知り合いがこんな形で現れるとは思わなかった愛子と小鳩はポカーンとしてしまう
「あら~、奇遇ね~」
お互いに相手に気付き声をかけるが、外と内な為に当然声など届くはずがない
愛子はジェスチャーでコミュニケーションを取ろうとするが、普通に話しても会話が繋がらない冥子とコミュニケーションが成立するはずはなかった
その結果二人は東京タワーを降りて外で冥子と合流するしか無かったのである
「こんにちは、お仕事ですか?」
「ううん~、ルシオラちゃんのお墓参りに来たのよ~」
合流した愛子は冥子が仕事で来たのかと思ったようだが、どうやら違ったらしい
「でもルシオラさんは……」
「冥子難しいことわかんないけど~、一人は寂しいと思うの~」
ルシオラは死んだ訳ではなく死ぬことも出来ない状況だと理解する愛子や小鳩は複雑な表情を見せるが、冥子はそこまで深く考えてないようだ
冥子自身がルシオラの現状をどこまで理解してるかは不明だが、たまには会いに行ってあげたいと考えただけだった
墓参りとの言葉が適切かは分からないが、ルシオラに会いに来た冥子の好意自体は愛子達も理解する
相変わらずいろいろ問題はありそうだが、根本的にはいい人なのだろうと感じずには居られなかった
「早く帰って来てほしいわね~ みんな待ってるのよ~」
自宅から摘んで来た花を東京タワーの上に置いて来た冥子は、相変わらずのニコニコとした口調でルシオラが戻ってくるのを純粋に楽しみにしてるようである
日頃から頭のネジが何本か抜けてるような冥子だが、この時の言葉だけは愛子も小鳩も同意せざるには居られなかった
そして純粋にそれを言える冥子が少し羨ましかった
その頃この日の授業が終わった愛子と小鳩は東京タワーに来ていた
「私も始めてなんですよ。 お金がなくて学校の行事とか休んでましたから」
基本的に学校の校舎より高い建物はほとんど経験がない愛子は素直にはしゃいでいるが、小鳩も実は始めてだったらしい
一緒について来た福の神の貧と貧乏時代を懐かしむ二人も始めての東京タワーを楽しんでるようだ
「東京ってこんな景色なんだ……」
特別展望台に上がった愛子は、驚きの言葉を残し東京の街を見つめている
最近は割と学校の外に行く機会も増えた愛子だが、これほど高い場所に来たのは始めてなのだ
見慣れた街や学校の方角を見ては、自分の済む人間の街の大きさに改めて圧倒されてしまう
「どんな気持ちだったんでしょうね」
それからしばらく無言のまま街を見ていた愛子と小鳩だが、ふとした瞬間に小鳩はぽつりと言葉を発する
愛子も小鳩もこの場所の意味を知っていたからこそ、一度は来てみたかったのだ
ここにくれば何か分かるかとも思っていたのだが……
そんな小鳩の言葉に愛子は返す言葉が浮かばなかった
「えっ…!?」
しんみりとした空気が二人を支配する中、それをぶち壊したのは窓の外に見える光景である
「冥子さん?」
東京タワーの外を式神に乗った冥子がスルスルと上がって来たのだ
まさか知り合いがこんな形で現れるとは思わなかった愛子と小鳩はポカーンとしてしまう
「あら~、奇遇ね~」
お互いに相手に気付き声をかけるが、外と内な為に当然声など届くはずがない
愛子はジェスチャーでコミュニケーションを取ろうとするが、普通に話しても会話が繋がらない冥子とコミュニケーションが成立するはずはなかった
その結果二人は東京タワーを降りて外で冥子と合流するしか無かったのである
「こんにちは、お仕事ですか?」
「ううん~、ルシオラちゃんのお墓参りに来たのよ~」
合流した愛子は冥子が仕事で来たのかと思ったようだが、どうやら違ったらしい
「でもルシオラさんは……」
「冥子難しいことわかんないけど~、一人は寂しいと思うの~」
ルシオラは死んだ訳ではなく死ぬことも出来ない状況だと理解する愛子や小鳩は複雑な表情を見せるが、冥子はそこまで深く考えてないようだ
冥子自身がルシオラの現状をどこまで理解してるかは不明だが、たまには会いに行ってあげたいと考えただけだった
墓参りとの言葉が適切かは分からないが、ルシオラに会いに来た冥子の好意自体は愛子達も理解する
相変わらずいろいろ問題はありそうだが、根本的にはいい人なのだろうと感じずには居られなかった
「早く帰って来てほしいわね~ みんな待ってるのよ~」
自宅から摘んで来た花を東京タワーの上に置いて来た冥子は、相変わらずのニコニコとした口調でルシオラが戻ってくるのを純粋に楽しみにしてるようである
日頃から頭のネジが何本か抜けてるような冥子だが、この時の言葉だけは愛子も小鳩も同意せざるには居られなかった
そして純粋にそれを言える冥子が少し羨ましかった