秋の夜長に……

一方その日の銀一は年末公開の映画版踊るGSのプロモーションの為の雑誌の取材を受けていた

この時期すでに映画は完成しており、銀一はテレビや雑誌などに宣伝で出演することが多かったのだ

まあ内容はどこも似たり寄ったりで同じことを何度も話す日々が続いているが、基本的に聞かれるのが本物のGSとの交遊関係だった


「近畿君は美神令子氏とお知り合いだとか……」

「一度除霊を見学しただけですよ。 個人的にお世話になってるのは唐巣神父ですね」

以前見学した関係から令子との関係を尋ねられる銀一だが、正直それほど親しくないのが実情である

銀一自身は令子に特別思うところはないが、横島と令子の関係から会う機会がないのが実態だった

そんな銀一が親しいGSを聞かれて名前を上げているのはやはり唐巣である

理由としては一番無難だったことが全てであり、若い女性のGSと親しいと言うといろいろと邪推して相手方に迷惑がかかる可能性があるのだ

唐巣に関しては銀一自身が以前に唐巣に了承を得ており、唐巣はここでも頼られている

現に唐巣が幹部就任したのも相まって、最近唐巣にはマスコミからの取材が増えているが一番聞かれるのが銀一との関係や話題だった


「唐巣氏と言えば二年前の事件を解決した中心人物ですが、そのことも聞かれたのですか?」

「いえ個別の事件に関しては聞いてません。 基本的なことを幾つか学んで個人的に親しくさせて貰ってるだけです」

この日ちょうど慰霊祭を行ってることから、質問は唐巣から二年前の事件に移るが銀一は基本的に全く知らないとのスタンスを取っている

これに関しては以前から同じ態度を貫いており、本物の事件に関する質問は一切答えてなかった

基本的にGSにも一定の守秘義務があり、個別の事件や依頼に関しては聞いてないとのスタンスで通している

まあ自分の世間への影響力を知ってる銀一としては、言葉に細心の注意を払うのが当然だった



そんな銀一だが、春の卒業パーティー以来いくつか変わったことがある

具体的には六道グループや村枝商事などの繋がりでCMやテレビ出演が結構増えたのだ

これに関しては双方共にそれほど深い意味はないのだが、知り合いが人気アイドルなら一緒に仕事をしようと考えた六道側が銀一側にオファーを出したことが影響している

村枝商事は大樹と銀一が知り合いだったこともあり、こちらも親交企業のCMを中心に幾つか仕事が纏まっていた


そんな横島絡みで最近仕事が更に増えた銀一だが、横島本人はその辺りの情報は全く知らなかったりする

まあ横島には関係ないといえばそれまでだが、横島自身もまさか銀一と父親や六道家が仕事をすると思ってないのだろう

この頃銀一はアイドルから俳優への転身を狙っていたこともあり、調度よくスポンサーが着いた形になっているのだ

両企業とも仕事以前に友人だったこともあり、銀一の考えをバックアップする代わりにCMやイベントに出演することになっていた

結果銀一は踊るGSの映画の公開も控えた現在、今まで以上に順風満帆な日々を送っていたのである



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