秋の夜長に……
一方この日の六道女学院だが、今日一日は二年前の教訓を生かすべく特別授業を行っていた
六道女学院は二年前の出来事で良くも悪くも影響を受けていたが、二年を境にした今年からあの出来事を語り継ぎ教訓を生かそうとの方針を打ち出していたのだ
おキヌ達三年にはまだ二年前の悪霊の大量発生のトラウマを抱えた者も若干居るため細心の注意は払っているが、未来にあの事件の教訓を伝え生かさなければならないというのが理事長である冥菜の考えだった
(偽りが真実の歴史になるのですね)
そんな六道女学院で特別授業を受けている弓かおりは、真実と違う偽りの事件を聞かされ複雑な表情を見せている
今年から霊能の歴史の教科書にもアシュタロス戦が書かれるようになった
そこには真実とは程遠い偽りが、真実の歴史として教科書に書かれているのだ
かおりは正直これでいいのか疑問を感じずにはいられない
(真実が必ずしも幸せになるとは限らないですか……)
そんな時かおりが思い出すのは、あの日自分達に真実を語ってくれた唐巣のことである
苦悩や後悔と自分の無力さに怒りまで見せたほどの唐巣が、真実の公開を望まない事実はかおりに世界の難しさを痛感させるには十分だった
歴史とは勝者が作り真実とは違うモノだと知っているかおりだが、それでもここまで明確な嘘が真実の歴史になることには抵抗がある
(私には疑問を口にする資格もないのでしょうね)
自分なりに考えや言いたいことはあるのだが、他人から聞いた真実を元に疑問を口にするのは間違いだとも思う
あの戦いに参加した者は皆真実を語ろうとはしない現状では、部外者のかおりが語れることは何もない
結局かおりは口を紡ぎ、いつの日か一流のGSになれば理解できるのだろうかと考えるしかできなかった
そして一文字魔理だが、彼女はかおりとは違い偽りの歴史に対して特に何も考えてない
GS試験以来タイガーと和解した魔理は、横島側の情報も少しは聞ける立場になっている
正直令子にとっても横島にとってもおキヌにとっても、真実の公開が迷惑でしかないと気付いていた
歴史が未来にどう伝わるかなど分からないし興味がない魔理は、令子や横島達の今の生活を壊してまで真実を公開するべきだとは思ってないのだ
ある意味かおりよりも割り切った考えをしているのは確かだろう
そんなかおりと魔理の共通する悩みはおキヌのことであった
苦しみながらも必死に進もうと努力するおキヌを見る度に、二人は真実を言えない苦しみと罪悪感に苛まれている
おキヌが自分達を友人として信頼すればするほど、二人は暴走したことやそこで知った横島側の苦しみを言えなくなっていたのだ
横島とおキヌの和解は不可能ではないのだろうとは思う二人だが、一度暴走して失敗した二人にはそれを仲介する資格も勇気もなかった
時間が過ぎれば過ぎるほどつらく感じる二人だが、それがおキヌの言葉を聞かずに暴走した罪なのだと受け止めるしか道はなかったのである
横島とおキヌがいつの日か分かり合う日が来ることを願いつつ……
六道女学院は二年前の出来事で良くも悪くも影響を受けていたが、二年を境にした今年からあの出来事を語り継ぎ教訓を生かそうとの方針を打ち出していたのだ
おキヌ達三年にはまだ二年前の悪霊の大量発生のトラウマを抱えた者も若干居るため細心の注意は払っているが、未来にあの事件の教訓を伝え生かさなければならないというのが理事長である冥菜の考えだった
(偽りが真実の歴史になるのですね)
そんな六道女学院で特別授業を受けている弓かおりは、真実と違う偽りの事件を聞かされ複雑な表情を見せている
今年から霊能の歴史の教科書にもアシュタロス戦が書かれるようになった
そこには真実とは程遠い偽りが、真実の歴史として教科書に書かれているのだ
かおりは正直これでいいのか疑問を感じずにはいられない
(真実が必ずしも幸せになるとは限らないですか……)
そんな時かおりが思い出すのは、あの日自分達に真実を語ってくれた唐巣のことである
苦悩や後悔と自分の無力さに怒りまで見せたほどの唐巣が、真実の公開を望まない事実はかおりに世界の難しさを痛感させるには十分だった
歴史とは勝者が作り真実とは違うモノだと知っているかおりだが、それでもここまで明確な嘘が真実の歴史になることには抵抗がある
(私には疑問を口にする資格もないのでしょうね)
自分なりに考えや言いたいことはあるのだが、他人から聞いた真実を元に疑問を口にするのは間違いだとも思う
あの戦いに参加した者は皆真実を語ろうとはしない現状では、部外者のかおりが語れることは何もない
結局かおりは口を紡ぎ、いつの日か一流のGSになれば理解できるのだろうかと考えるしかできなかった
そして一文字魔理だが、彼女はかおりとは違い偽りの歴史に対して特に何も考えてない
GS試験以来タイガーと和解した魔理は、横島側の情報も少しは聞ける立場になっている
正直令子にとっても横島にとってもおキヌにとっても、真実の公開が迷惑でしかないと気付いていた
歴史が未来にどう伝わるかなど分からないし興味がない魔理は、令子や横島達の今の生活を壊してまで真実を公開するべきだとは思ってないのだ
ある意味かおりよりも割り切った考えをしているのは確かだろう
そんなかおりと魔理の共通する悩みはおキヌのことであった
苦しみながらも必死に進もうと努力するおキヌを見る度に、二人は真実を言えない苦しみと罪悪感に苛まれている
おキヌが自分達を友人として信頼すればするほど、二人は暴走したことやそこで知った横島側の苦しみを言えなくなっていたのだ
横島とおキヌの和解は不可能ではないのだろうとは思う二人だが、一度暴走して失敗した二人にはそれを仲介する資格も勇気もなかった
時間が過ぎれば過ぎるほどつらく感じる二人だが、それがおキヌの言葉を聞かずに暴走した罪なのだと受け止めるしか道はなかったのである
横島とおキヌがいつの日か分かり合う日が来ることを願いつつ……