さて最近の雪之丞だが、住居は元横島のアパートであり電化製品も横島が置いて行った物でありほとんど変わりない

ただエアコンだけは今年の夏に自分で買っており、夏場の暑い時期は活躍していた

まあ体が資本で不規則な生活になりがちな職業だけに、ある意味必要不可欠な物だと言っても過言ではないだろう


そんな雪之丞の日常だが、基本的には朝から昼前までには魔鈴の自宅に行って勉強や修行をするのが日課である

本来は日中は魔鈴は店があるので雪之丞は自由な時間なのだが、異空間の広大な土地で修行場所に事欠かないしオカルト関係の本なども多い魔鈴宅で過ごす日が多い

何より食事を出してくれるのが雪之丞的には面倒がなくていいようだ

食費に関しては雪之丞はしっかり払っているが、基本的に店の食材の余り物などを利用する魔鈴の食費は驚くほど安い

暇な時間があれば修行する仲間も居るし、雪之丞にとってこれほど居心地がいい場所はないのだろう


肝心の仕事の方は魔鈴への除霊依頼が増加傾向にあることから、前年に比べると忙しく夜を中心に働いている

まあ通常は魔鈴も一日一件ほどしか依頼を受けないので、雪之丞はエミや唐巣の方に顔を出して積極的に実戦にも参加していた

当初はエミや唐巣から依頼があれば参加していたのだが、何回か一緒に仕事をするうちに雪之丞から暇な時間に顔を出して頼んでいる

元々頭で覚えるより体で覚えるタイプであり、魔鈴宅で行う勉強とエミ達の元で行う実戦はいい相乗効果をもたらしていた

知識不足は相変わらずなのだがそれでもかつてのバトルジャンキーな頃から考えると格段に成長しており、特に簡単な依頼などへの対応は魔鈴の影響からか別人のようである



「雪之丞さんは、そろそろ将来の明確な目標を考える時期かも知れませんね」

妙神山から戻った次の日、店の営業を終えた魔鈴は雪之丞の勉強の状況をチェックしていた

その進捗状況は魔鈴が思ってた以上に早く、すでにＧＳの基礎知識ではレストランで働く横島を大きく引き離している

物覚えの悪さを実戦でカバーした結果、そろそろ将来の目指す方向性を決める時期には来ていた


「ＧＳと言っても多種多様です。　雪之丞さんがどんなＧＳを目指しどうするのか。　具体的な目標を立てる時期でしょう」

魔鈴としては将来的には雪之丞がＧＳ事務所を持つのだろうとは考えているが、ＧＳと言ってもいろいろ存在する

雪之丞がどんな理想を持つのか魔鈴も詳しくは知らないが、基礎を学びながらも専門的に集中して覚えていく方向性は決める必要があった

令子のように万能型になるのか、魔鈴やエミのように特化型になるのか……

まあ才能の関係もあるが、本人の希望もまた重要なのだ


「それと私の魔法を受け継ぐのでしたら、そろそろそちらの勉強も始めたいと思ってます。　考える時間はまだありますから、よく考えて下さい」

この時期に魔鈴が雪之丞に将来を考えるように告げた理由の一つは、もし雪之丞が魔鈴の魔法を受け継ぐのならばより専門的な勉強や修行も始める必要があった

当初は雪之丞の魔法の才能にイマイチ自信が無かった魔鈴だったが、最近は割とイケる気がしている

この半年間の成長から見ると雪之丞は魔法を習得出来ると考えていた