秋の夜長に……
横島が目を覚ましたのは昼寝してから二時間ほど過ぎた頃だった
隣ではパピリオとタマモが気持ち良さそうに眠っており、特にタマモの尻尾は微かな風に吹かれてはふわふわと浮いている
横島は一緒に昼寝したと思っていたシロが居ないことから二人を起こさないように起き上がり母屋の中を探すが、シロどころか小竜姫や魔鈴でさえ居ない
「買い物にでも行ったか?」
三人で夕食の買い物でも行ったのかと考えちょっと散歩を兼ねて母屋の外に行くが、見た目が銭湯のような修行場の入口の扉が開いてることに気付く
「修行者か? 珍しいな」
修行場の入口が開いてることから修行者でも来て魔鈴やシロは見学でもしてるのではと思った横島は、久しぶりに修行場に足を踏み入れるがそこは想像もしない光景が広がっていた
「あら横島さん」
「あの二人何してるんっすか?」
修行場の脱衣所を越えて異空間に入ると小竜姫と魔鈴がお茶を片手に見物しており、離れた場合では奇妙なお面を被ったシロが何もない場所を攻撃してるのを老師はタバコを吹かしながら見ているのだ
一瞬新手の遊びかと思うほど奇妙な光景だが、小竜姫と魔鈴は興味津々な様子で見守っている
「始めはシロさんが老師に手合わせをして欲しいと言ったらしいのですが……」
驚く横島に小竜姫は苦笑いを浮かべながら事情を説明するのだが、老師と手合わせしたシロは半ば老師に遊ばれて終わったらしい
最初老師は分身の術など滅多に見せない仙術を次々に披露してはシロを驚かせて遊んでいたようだ
だがそんな貴重な術を見たシロは更にやる気を出してしまい、修行を付けて欲しいと頼み込んだようである
「修行っすか? まさかあのウルトラなんとかコースじゃ……」
「いえ、あれは基礎的な修行ですよ。 実はあのお面は封印具なのです。 人狼など妖怪の優れた五感や体力や霊能力を一般の人間並に抑える為の霊具なんですよ。 ああやって無駄な力や能力を使わずに修行する基礎中の基礎です」
老師の修行と聞き以前にやった危険な修行かと横島の顔色は青くなるが、違うようで普通の修行らしい
どうやら無駄に力が有り余ってるシロに対して、老師は力や能力を封印した形での無駄のない基礎的な動きを教えていたようである
「前はあんなに修行好きじゃなかったんだが…… 雪之丞の性格移ったか?」
「力が欲しいのでしょう。 二度と後悔しない為にも」
最近のシロの修行好きには関心半分呆れ半分といった感じの横島だが、小竜姫はシロの心にある強い想いを見抜いていた
「それはあると思いますけど、あいつは基本的に雪之丞側なんっすよ。 戦いに楽しみを見出だしてますしね」
「あれも一種の才能かも知れませんね。 戦いを楽しむ感覚は私にも分かりませんが……」
小竜姫の言葉の意味を横島は理解している
何故シロが力を求めてるかも理解していたが、その反面で戦いを楽しむシロの感覚が横島には全く理解出来ない
意外にも小竜姫もまた横島と近い感覚のようで戦いが楽しいとは感じないようだった
隣ではパピリオとタマモが気持ち良さそうに眠っており、特にタマモの尻尾は微かな風に吹かれてはふわふわと浮いている
横島は一緒に昼寝したと思っていたシロが居ないことから二人を起こさないように起き上がり母屋の中を探すが、シロどころか小竜姫や魔鈴でさえ居ない
「買い物にでも行ったか?」
三人で夕食の買い物でも行ったのかと考えちょっと散歩を兼ねて母屋の外に行くが、見た目が銭湯のような修行場の入口の扉が開いてることに気付く
「修行者か? 珍しいな」
修行場の入口が開いてることから修行者でも来て魔鈴やシロは見学でもしてるのではと思った横島は、久しぶりに修行場に足を踏み入れるがそこは想像もしない光景が広がっていた
「あら横島さん」
「あの二人何してるんっすか?」
修行場の脱衣所を越えて異空間に入ると小竜姫と魔鈴がお茶を片手に見物しており、離れた場合では奇妙なお面を被ったシロが何もない場所を攻撃してるのを老師はタバコを吹かしながら見ているのだ
一瞬新手の遊びかと思うほど奇妙な光景だが、小竜姫と魔鈴は興味津々な様子で見守っている
「始めはシロさんが老師に手合わせをして欲しいと言ったらしいのですが……」
驚く横島に小竜姫は苦笑いを浮かべながら事情を説明するのだが、老師と手合わせしたシロは半ば老師に遊ばれて終わったらしい
最初老師は分身の術など滅多に見せない仙術を次々に披露してはシロを驚かせて遊んでいたようだ
だがそんな貴重な術を見たシロは更にやる気を出してしまい、修行を付けて欲しいと頼み込んだようである
「修行っすか? まさかあのウルトラなんとかコースじゃ……」
「いえ、あれは基礎的な修行ですよ。 実はあのお面は封印具なのです。 人狼など妖怪の優れた五感や体力や霊能力を一般の人間並に抑える為の霊具なんですよ。 ああやって無駄な力や能力を使わずに修行する基礎中の基礎です」
老師の修行と聞き以前にやった危険な修行かと横島の顔色は青くなるが、違うようで普通の修行らしい
どうやら無駄に力が有り余ってるシロに対して、老師は力や能力を封印した形での無駄のない基礎的な動きを教えていたようである
「前はあんなに修行好きじゃなかったんだが…… 雪之丞の性格移ったか?」
「力が欲しいのでしょう。 二度と後悔しない為にも」
最近のシロの修行好きには関心半分呆れ半分といった感じの横島だが、小竜姫はシロの心にある強い想いを見抜いていた
「それはあると思いますけど、あいつは基本的に雪之丞側なんっすよ。 戦いに楽しみを見出だしてますしね」
「あれも一種の才能かも知れませんね。 戦いを楽しむ感覚は私にも分かりませんが……」
小竜姫の言葉の意味を横島は理解している
何故シロが力を求めてるかも理解していたが、その反面で戦いを楽しむシロの感覚が横島には全く理解出来ない
意外にも小竜姫もまた横島と近い感覚のようで戦いが楽しいとは感じないようだった