秋の夜長に……

その後昼食にするが、昼食は鮭ときのこのクリームパスタと山栗のモンブランだった

クリームパスタの方は脂の乗った鮭と旬のきのこが、濃厚クリームースに上手く絡み絶妙な味に仕上がっている

山栗のモンブランは食後のデザートに用意されており、こちらは甘い物好きなパピリオに特に好評だった


「今日はちょうどいい天気だな」

「眠くなって来たでちゅ」

食後の満足感で満たされた横島は、パピリオとタマモと共に縁側でひなたぼっこしながらウトウトして始める

美味しい物をお腹いっぱい食べてこのまま睡魔に身を任せればどれだけ幸せかと頭を過ぎるが、一人だけ元気いっぱいな者が居た


「パピリオ殿、勝負でござる!」

それは言わずと知れた事だろうがシロである

食後のマッタリした時間を楽しむ横島達と対照的に、シロは食後の運動をしたいらしい

前々から興味があったパピリオと勝負がしたいらしく、やる気をみなぎらせている


「パピリオとシロじゃパワーの桁が違うから勝負にならんぞ」

「一緒に昼寝するでちゅよ」

身体を動かしたくてウズウズしてる様子のシロに対し、横島とパピリオは疲れる事よりは昼寝がしたいようだ

一応横島はそれらしい理由を口にするが、パピリオと共に眠そうなのは一目瞭然だった


「先生もパピリオも気合いが足りないでござる!」

眠気など全くないシロは横島やパピリオの身体を揺すり起こそうとするが、二人は睡魔の方が勝ってるようである

そして一人我関せずと言った表情のタマモは、狐形態に戻りすでに夢の世界に旅立つ寸前だった

心の中でバカ犬と呟くと意識を手放してさっさと昼寝をする


「ク~ン……」

横島達を起こそうと一人奮闘するシロだが、気持ち良さそうに寝息を立て始める横島達を見ると流石に起こすことが出来なくなってしまう

結局暇を持て余したシロは無謀にも斉天大聖の元に行き、相手をして欲しいと告げることになる


「ふむ、いいじゃろう」

一方食後も一人ゲームを続けていた老師は、手合わせをして欲しいと訴えるシロの頼みをあっさり聞いてしまう

そのまま嬉しそうなシロを連れて修行場に移動する二人だが、偶然そんな姿を見た小竜姫が見ていた


「老師様?」

「こやつが手合わせをして欲しいと言うのでな」

「そっ、それは流石にまずいのでは!?」

何処に行くのか尋ねた小竜姫に老師はシロと手合わせをすると告げるが、小竜姫は表情を真っ青にして慌ててしまう

力の桁どころか次元が違う斉天大聖と幼いシロが手合わせなど、あまりに危険だと小竜姫は理解している

ちょっとでも手加減を間違えれば怪我では済まないのだ

老師の力を知る小竜姫は、どうしてそんな話になったのか理解出来ない様子で慌てるしか出来ない


「心配せんでも加減はするわい」

「拙者なら大丈夫でござる」

慌てて止める小竜姫だが、健闘虚しく二人は何故かやる気の様子で修行場に入っていく


「知らないとは恐ろしいものですね」

気が乗らないと小竜姫ですら相手をしてもらうない老師が何故やる気なのか小竜姫は理解に苦しむが、同時に何も知らないシロの怖いもの知らずにも冷や汗を流していた


8/41ページ
スキ