秋の夜長に……

さてハロウィンに向けて準備を進めていた横島達だったが、この日は休日を利用して妙神山を訪れていた

相変わらず定期的に訪れているが、最近は流石に毎週という訳には行かなくなっており今回は二週間ぶりである

小竜姫には本を老師とパピリオにはゲームを差し入れるなど、相変わらずいろいろなお土産を持参する横島に老師やパピリオはご機嫌だった


「いつもありがとうございます。 そういえば近くで採れた栗がたくさんあるので、帰りに持って行ってくださいね」

横島・シロ・タマモの三人がいつものようにパピリオに連れられてさっそく新しいゲームを遊び始めると、魔鈴は小竜姫に本を差し入れしつつ話を始める

実は小竜姫へ差し入れする本は最近は魔鈴が選んでいたのだ

元々は横島が選んでいたのだが、魔鈴が小竜姫と料理などについて話をする機会が多くいつの間にか魔鈴が選ぶようになっている

小竜姫が好きな本に関しては料理や旅行の本などに加え、ファッションやインテリアなど普通の雑誌も意外と好きなようだった

これに関して最初横島は哲学書など難しい本も幾つか差し入れしたのだが、小竜姫としては娯楽性がある本の方が好きなようである

おかげでかつては同じ妙神山の自室に老師が持っていたゲームやカラーテレビさえ知らなかった小竜姫だが、今ではすっかり人間の文化を楽しんでいた


「栗がたくさんあるなら、せっかくですから今から料理しませんか?」

「それもいいですね。 《もんぶらん》と言う洋菓子が一度食べてみたかったんんですよ」

到着早々に立ち話をしていた魔鈴と小竜姫だが、栗がたくさんあるとの話でさっそく料理しようとキッチンに向かう

妙神山に来ると一緒に料理をする機会が多い魔鈴と小竜姫は、慣れた様子で材料の確認から始める

足りない材料に関しては小竜姫の瞬間移動でわざわざ買いに行くのだが、魔鈴と一緒に料理するようになり小竜姫は人間の街にも慣れ最近は一人でもスーパーに普通に買い物に行くこともあるらしい

妙神山で一番横島達の影響を受けているのは外ならぬ小竜姫であった



「そういえばヒャクメさんは?」

「あやつは今日は神界じゃよ。 最近は妙神山で仕事しておるが、報告は流石に神界に行かねばならんからのう」

一方ゲーム組に混ざっていたタマモは姿が見えないヒャクメを探すが、どうやら今日は居ないらしい

元々神界の調査官には様々な仕事があるが、ヒャクメは横島達の様子を見守る為に妙神山に滞在してる方が多かった

これに関しては正式には任務ではないのだが、ジークやワルキューレと同じく最高指導部に行動を黙認されており他の仕事を意図的に減らされている

元々小竜姫達が自発的に始めた行動なので任務ではないが、その必要性を理解してる上層部はそのままワルキューレやヒャクメの任務を減らしていたのだ

現在神魔界で唯一交流が続く貴重なルートなだけに、当然仲介する横島の身辺は気を配られていたのである



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