秋の夜長に……

さて横島とタマモが作っている物だが、ハロウィンでお馴染みのジャックランタンである

実はジャックランタンなどのハロウィングッズは既製品であるのだが、横島が手作りがいいと言い出して例によって自作をしていた

前回の商店街の夏祭り同様に器用なタマモを巻き込んで、ハロウィングッズの制作に汗を流していたのだ


「秋の新作メニューにカボチャのメニューでも考えましょうかね。 シロちゃん手伝って下さい」

相変わらず人並み以上の器用さでハロウィングッズを作る横島とタマモを眺めてる魔鈴だったが、どうせならばカボチャ繋がりでハロウィンメニューでも考えようとシロを連れて厨房に行く

残念だが魔鈴とシロでは、横島とタマモのように器用にハロウィングッズを作ることは出来ないのである


「何を作るのでござるか?」

「まずはカボチャのクッキーにしましょうか。 子供に配るお菓子が必要ですし」

厨房に入った魔鈴とシロはさっそくカボチャ料理の試作を始めるが、シロは堅いカボチャを切ったりクッキーの生地をこねたりと精力的に働いていく

料理も基本的には力は必要であり、あまり力がない魔鈴ではシロの力はかなり助かっている

加えてシロ自身も魔鈴や横島に頼られることが嬉しいようで、このような時は率先して働いていた



一方おキヌがGSになる為の根回しなどが一段落した令子は、事務所で一人帳簿と格闘している真っ最中だった

今回の件で少なくない金額の金を使った結果、その帳尻合わせなどに忙しい

まあ裏金も必要経費として考える令子としては文句がある訳ではないが、それよりも問題だったのは横島が辞めて以降除霊の経費が増したことである

やはり文珠の使用が出来なくなったことが地味に響いていた

元々表の帳簿では文珠を計算に入れずに経費を計上してるので大差ないが、裏帳簿では表で計上した経費を文珠で浮かせていた為にかなり支出が悪化していたのだ

最も支出が増大して黒字が減っても赤字になどなるはずがなく、他のGSから見れば羨ましくなるほどの黒字になっているが……

しかし令子にしてみれば横島が去って収入が減った結果は決して面白いものではなかった


「本当はオカルトGメンに協力するのなんて嫌なんだけどね……」

まあ横島絡みの出費は縁切りの駄賃だと思って割り切ろうと考えているが、問題はまだありオカルトGメンへのただ同然の協力もまた収支の悪化の一因である

現在オカルトGメンに積極的に協力してるGSは、令子を除けば唐巣などごくげく僅かしか居ない

その結果少しでも厄介な事件が起きると令子に協力要請が来るのだが、美智恵との力関係で令子はなかなか断れなかったのだ

西条がいくら資産家とはいえ毎回令子に個人的な報酬を払う余裕があるはずなく、結局令子は必要経費以外は最低限の謝礼金で協力せざるおえない状況なのである


「ママもオカルトGメンなんて辞めちゃえばいいのに……」

商売敵であるオカルトGメンへの協力するなど、令子にとって自分で自分の首を絞めてるようなものだった

アシュタロス戦のごたごたで美智恵が引退出来ない事情は理解してるが、オカルトGメンは辞めてほしいのが本音らしい



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