「アハハハ、もっと飲むのねー」

突然やって来て当然のように酒を飲むヒャクメは間違っても神様には見えなかった

しかし自分に見えない物はないと言い張るヒャクメが、綾の記憶をちょっと暴露すると信じるしかない


「お前本当に何しに来たんだ？」

「ちょうど暇だったから遊びに来ただけなのね」

楽しそうに騒ぐヒャクメに横島は何か用事でもあるのかと気になっていたようだが、本当にただ遊びに来ただけのようだ

たまたま暇だったことから横島達を覗いていたら、楽しそうだったから来ただけなのだろう


「えっと拝んだ方がいいのかしら？　それとも祈るの？」

「細かいこと気にしちゃダメなのね。　それに私を拝んでも御利益はないし、拝まなくても神罰は下さいのね」

「じゃあ、とりあえず乾杯しましょうか」

現れてからしばらくはヒャクメへの対応を悩んでいた綾だったが、ヒャクメ本人が拝んでも意味などないと言い切ると何故か二人は乾杯をする

その適応力には横島と魔鈴もびっくりだった

結局ヒャクメはそのまま居座って宴会に参加することになる



「うーん、今日も飲んだわねー」

そのまま時間を忘れるように飲んでいた一同だったが、ピートと愛子は明日も早いからと日付が変わる前に帰っていた

残る横島達とヒャクメと雪之丞と飲んでいた綾だったが、流石に深夜二時を回るとお開きにしようということになる


「今度は私がニューヨークに遊びに行くのね」

「ええ、是非来てちょうだい」

そしてヒャクメだが、何故か綾と意気投合して今度ニューヨークに遊びに行く約束まで取り付けてしまう


「魔鈴さん達も一緒に連れて行くから楽しみにしてるのね」

「連れて行くって、お前の瞬間移動大丈夫か？」

自分ならニューヨークも瞬間移動で楽勝だと言い切るヒャクメだが、かつて同じように言って平安京では散々だった横島は不安そうである


「瞬間移動はそんな難しくないわ。　空間認識能力さえあれば距離は関係ないのね。　横島さんでも多分大丈夫よ」

「空間認識能力？」

「簡単に言うと行き先の正確なイメージが大切なのよ。　横島さんの場合は術自体を文珠に頼ってるから普通の瞬間移動よりも難易度は更に低いのね」

瞬間移動の話から術の仕組みに話が進み何も知らないで使ってる横島にヒャクメが説明するが、話を聞いている綾は唖然としていた


「ちょっと待って。　その説明だと横島君が瞬間移動出来るみたいに聞こえるんだけど……」

「一応出来るっすよ。　俺の場合は文珠って言う霊能力を使ってるんですけどね」

最後の最後に横島の真実の一端が暴露されると綾はポカーンとして横島を見つめる

同級生の恋人の中で一番普通に見えた横島が、銀行強盗をやっつけて瞬間移動が出来ると言うのだから

これは流石の綾でも今日一日一緒にいなかったら信じられなかっただろう


「やっぱり貴方はめぐみの彼なのね。　常識がどっか飛んでるとことかそっくりよ」

綾は今の今まで横島は常識人だと感じていたが、ようやく横島が非常識の塊だと気付いたらしい

それは魔鈴にもどこか共通するものがあるらしい