嵐を呼ぶ再会

「へ~、いいお店じゃない。 てっきりもっとめぐみの趣味が出てると思ったのに……」

そのまま店に到着した一同だったが、オシャレな感じの普通の店舗に綾は若干驚いている

どうも魔鈴の趣味が現れてる店かと思ったようだ


「魔鈴さんの趣味?」

「あれ、知らないの? めぐみって変わったインテリアとか好きなのよ」

「ああ、それなら自宅の方が……」

魔鈴の趣味と言われてもあまりピンと来ない横島だったが、変わったインテリアと言われると理解したようである

横島は慣れたしあまり気にしないが、正直理解出来ない部分ではあった


「……私も自分の趣味が大衆受けしないのは理解してますよ」

友人と恋人の趣味に対する微妙な態度に若干不満そうな表情を見せる魔鈴だったが、綾と横島が笑ってごまかすとそれ以上追求はしなかった

まあ横島と綾も趣味が悪いとは言わないから批判した訳ではないのだが……


「お帰りでござる!」

そんな時横島達の帰宅を察知したシロが出迎えに出て来るが、綾とアンディは突然のことに驚き視線が集中してしまう

二人は別に魔鈴の店に人が居たことに驚いた訳ではなく、シロのブンブンと元気いっぱいに振られている尻尾に驚いていた


「お客さんでござるか!? 拙者犬塚シロでござる」

「宮本綾よ。 こっちはアンディよろしくね。 ところで、その尻尾本物みたいね」

「拙者人狼ゆえ、この尻尾は本物でござるよ」

ニコニコと笑顔を見せて挨拶して綾とアンディと握手していくシロだったが、話題が尻尾に行くと胸を張って本物の尻尾だと告げる


「凄いわね~ 私、人狼って初めて会ったわ。 尻尾が無ければ人と同じね」

サラっと人狼だと告白するシロに綾は驚き頭を撫でていた

尻尾以外は人間と区別付かないシロだが、嬉しいのか頭を撫でると尻尾が更にブンブンと振っていて分かりやすい

まるで子犬のようだと感じずにはいられなかった


「もうご飯食べた?」

「まだでござるよ。 今タマモと作ってるでござる」

「そう、じゃあみんなで夕食に出来るわね」

一方魔鈴はシロに話しを聞くと早々に料理を追加しに自宅のキッチンに行く

この日はピートと愛子も来ており雪之丞と共に勉強中だったらしく、突然二人分くらい増えても問題ないようだ

というか最近魔鈴宅には客が多く、夕食を食べていく人も多いため日頃から多めに料理を作っている

ほぼ毎日夕食を食べる雪之丞を始めピートやタイガーや愛子に、銀一や小鳩達もたまにやって来るので割と夕食の人数が増えるのはよくあることだった


「なんか楽しそうね」

シロと一緒にキッチンに行く魔鈴を見て、綾は思わずクスクス笑ってしまう

どういう関係なのかイマイチ分からないようだが、見た感じは似てない姉妹に見えている


「あの子昔っから年下に好かれてたのよね」

シロと一緒の魔鈴に綾はふと高校時代を思い出していた

高校時代の魔鈴は孤児院から通っていたが、あの頃から魔鈴は同じ孤児院の年下の子達に好かれてたらしい

そんな懐かしさと現在の魔鈴の笑顔に綾はホッとした表情を見せていた

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