「へ～、霊能者なんだ。　将来的なＧＳ目指してるの？」

横島が霊能者だと知ってもあまり驚かない綾だが、魔鈴の恋人なだけに有り得ないことではないと感じたようだ

霊能者らしくないとも感じたようだが、魔鈴も霊能者らしくないだけに案外似た者同士かと思う


「ＧＳになる気はないっすよ。　前にＧＳ事務所でバイトしてたんですけど、俺には合わなくって」

「そういえばめぐみも高校時代は同じようなこと言ってたわよね。　知れば知るほどＧＳに興味が無くなるって」

ＧＳが合わないと話す横島に綾は高校時代の魔鈴を思い出す

高校在学当時から割と名前が知れていた魔鈴は、噂を聞き付けたＧＳから何度か弟子入りの誘いを受た過去があった

当初魔鈴は話を聞いて返事を保留にしていたが、独自にオカルト業界を調べれば調べるほど興味を持てなくなっていた過去がある

綾は横島もまたオカルト業界の独特な空気が会わなかったのだろうと判断したようだ


「正直、気持ちがいい仕事じゃないのは今も同じよ。　理不尽なことや悲しいことの多い業界だもの。　私もＧＳを本業にはしたくないわ」

元々研究者タイプの魔鈴は昔からオカルト業界があまり好きでは無かった

未知への探求や失われた秘術への探求は好きなのだが、正直ＧＳに魅力を感じないのは今も昔も変わらないらしい

他に生きていく方法がないのならともかく、レストランで十分生活は出来るだけに魔鈴もまたＧＳを本業にはしたくなあのだろう


「似た者同士じゃん。　よかったわね～　価値観が合うってのは大切よ。　それに才能と好きなことは別だからね」

ＧＳが合わないと言い切る横島と魔鈴に、綾はいい出会いをしたとシミジミ感じていた

優秀だけどちょっと変わってる魔鈴には、横島のようなタイプがピッタリかと考えたらしい

少なくともオカルトという一般人には理解出来ない分野を理解出来る恋人は貴重なのではと思う


「銀行強盗のせいで時間が少なくなっちゃったけど、パッと遊びに行きますか！」

銀行強盗から横島と魔鈴の話が一段落したことで、四人は予定通り遊びに行くことになる

何をするのかは特に決めて無かったのだが、あまり遠くに行く時間もないことで近場でぶらぶらしていく

ゲームセンターに行ったりカラオケに行ったりと、まるで高校生のような感じだったが魔鈴も綾もそんな普通の事が好きらしい

結局日が暮れるまでの数時間を二人は昔に戻ったように楽しんでいた



「ねえ、せっかくだから夕食だけど家に来ない？」

街がすっかり夜の闇に包まれる頃、魔鈴は綾とアンディを夕食に誘っていた

自分の夢の形でもある店を見て欲しかったし、二人に自分の料理を振る舞いたかったのである


「私はいいけど、本当にいいの？　休日くらい休みたいんじゃ……」

「私の魔法料理を一度食べて欲しかったの。　それに他にも会わせたい子達もいるのよ」

魔鈴の魔法料理には綾も興味津々だったが、せっかくの休みだからと今日は外食にするつもりだったらしい

しかし魔鈴が是非にと告げて綾とアンディを自宅に招待していた