横島とシロが作った朝食で横島や魔鈴達はいつもより賑やかな朝を迎えたのだが、この日は以前からの約束通り昨日会った魔鈴の友人である宮本綾と会う日である

以前魔鈴と一緒に選んで買った服のうちの一つを着た横島は、お昼より少し前に魔鈴と一緒に出掛けていく

昨日までは幾分緊張した感じもあった横島だったが、昨日会っただけに今日は気楽な感じであった



「ヤッホー、二人共二日酔い大丈夫？」

「私達は大丈夫よ。　綾こそ結構飲んでたじゃない」

「私はあんな程度じゃ軽いもんよ。　酒に誘った男を潰すのがちょっと前までの趣味だったもの」

都内で待ち合わせした魔鈴と綾は数年の時間を感じさせないほど、違和感なくおしゃべりに華を咲かせる

どうも魔鈴の友人は豪快な女性らしく、今の恋人と出会う前はお酒に誘った男性が潰れるまで飲んでいたらしい


「昨日はどうも、それにしても日本語上手いっすね」

「去年まで在日米軍に居たからな。　日常会話程度なら問題ないさ」

魔鈴と綾が楽しそうに話し込んでる事で横島は綾の恋人であるアンディと適当な会話をするが、筋骨隆々な体格で見た目少し怖い感じだが驚くほど日本語が上手い上に顔に似合わずフレンドリーな感じである

何はともあれそのまま四人は街をぶらぶらしていくが、綾は凄まじい勢いで買い物をしていた


「そんなに買って大丈夫なの？」

「いいの、いいの。　日本でしか買えない物も多くってね～　せっかくだから買っておきたいのよ」

魔鈴と横島が呆気にとられる間に綾は悩むことなく次々に選んでは買っていく

服を買ったかと思えば雑貨を買ったりと次々に買っては、恋人であるアンディに荷物を持たせている

その量も驚きだが、気持ちがいいほどの即断即決の買い方は珍しいものだった


「ちょっと持ちましょうか？」

「えっ！？　手伝ってくれるの！？　ちょうどこれも欲しかったのよ～！」

次々に買われた品物を両手に抱えるアンディに横島が思わず手伝おうと言い出すと、綾は待ってましたと言わんばかりに追加で買い物をしていく

結果横島の両手が綾の荷物で埋まるまでにさしたる時間はかからなかった


「いや～、本当に助かったわ。　何でも好きなもの奢るから気の済むまで食べてよ」

その後横島に加えて魔鈴や綾自身まで両手に持つほど買い物をした綾だったが、全てを宅配便で送ると少し遅い昼食の為に近くのレストランに入っていた

思いっ切り買い物したせいか上機嫌てスッキリした様子の綾は、食前酒変わりにビールを頼むと全部奢るからと乾杯をする


「綾は本当に変わってないわね」

「そう？　めぐみは変わったわね。　みんなも昨日は内心驚いてたと思うわよ」

乾杯したビールを半分ほど気持ち良さそうに飲んだ綾は、懐かしそうに笑みをこぼす魔鈴が変わったと口にしていた


「そうかしら？　あまり自覚はないんだけど……」

「変わったわよ。　今は本当に幸せそうだもの。　まあ別にあの頃が不幸そうだった訳じゃないけど、なんか雰囲気が変わったわ」

懐かしい高校時代を思い出し離れていた時を埋めるようにおしゃべりをする二人は、本当に楽しそうである