嵐を呼ぶ再会

結局横島と高宮の夫は先程のことで魔鈴の元クラスメートの注目を集めてしまうが、横島としてはよく分からないという感じである

元々大樹の仕事に関してもあまり知らなかったし、正直横島の感覚としては遊びまくってる印象しかない

横島や魔鈴よりも高宮と高宮の夫の方が大樹に詳しいと言うおかしな状況になっているが、夫が注目を集めた事で高宮の機嫌が直ったのだからよかったのだろう

その後高宮の機嫌が直ったからか三次会は高宮の奢りとなって賑やかになるが、特に問題なく楽しい時間は過ぎていく



「決着は次まで預けておきますわ!」

三次会も終わり解散しようという頃、イキイキとした高宮は魔鈴に対し決着は次に伸ばすと言い切るが、やはり魔鈴にはその気がない為に苦笑いを浮かべるのみだった

そんな相変わらずの高宮を元クラスメート達は過ぎ去りし時を感じ懐かしそうに見つめている

それは高校時代には毎日のようによくある光景だったのだ

加えて前回魔鈴が参加しなかった同窓会では、どこかつまらなそうな高宮の姿が密かな話題となっていたのだから


「貴方も私の夫に負けないように努力なさい」

そして高宮の言葉は魔鈴の横で若干不思議そうに見ていた横島にも向けられていた

横島自身はイマイチ意味が分からないようだが、高宮なりに横島を認めた言葉なのだと元クラスメート達は感じている

結局元クラスメート達は横島の真の価値を知ることはなかったが、それでも彼らは未来ある横島を評価し少し羨ましいようであった

まあ魔鈴達と横島は年の差はさほどないのだが、社会人一年生である横島の今がどれだけ重要な時期かは理解してるのだろう

彼らは次の同窓会を楽しみにしつつ、それぞれの生活に戻っていく



「楽しい人達っすね。 俺も魔鈴さんと一緒に高校に通いたかったな」

元クラスメート達と別れ二人っきりになった横島と魔鈴は酔い醒ましも兼ねて少し歩いていたが、横島は魔鈴の友人達を思い出し羨ましそうに笑っている

懐かしい話をしながら笑って会える魔鈴と元クラスメート達が、横島は素直に羨ましかったのだろう

横島自身は高校時代の元クラスメートと気を許して笑いあえる日が来るとは思えなかったのだから

別に横島は元クラスメート達を嫌ってるとか怨んでるとかではないが、魔鈴達のような関係にはなれる気がしないようだ


「確かに一緒に高校に通えてれば楽しかったでしょうね」

横島と同い年で一緒に高校に通ってればどうなっただろうと考えた魔鈴は、思わずクスクスと笑ってしまいそうになる

出会った頃の横島と高校時代の自分が一緒だったらどうなるかなど、全く想像出来ないのだ


(もし同い年で同じ高校だったら、私の片思いで終わったのかも知れませんね)

横島との高校生活は想像も出来ない魔鈴だったが、今の自分がたくさんの偶然と奇跡により横島と結ばれた結果を考えると案外自分の片思いだったのかもしれないと考えてしまう

おキヌや小鳩や愛子の隠された想いを知る故に、魔鈴は今の自分の幸運に感謝したい気持ちだった


ちなみに余談だが、高宮の夫の会社は今日の出会いをきっかけに飛躍的に成長していくことになる


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