横島が出発した頃、二次会ではどんな人が来るのかとの話で盛り上がっていた

魔鈴や高宮に限らず高校時代一緒だったクラスメートなだけに、誰がどんな人と付き合ってるかはいい酒のつまみになっている


「そういえば綾の彼ってどんな人なの？」

「見てのお楽しみよ。　めぐみがどんな反応をするか楽しみだわ」

そんな賑やかな空気の中で魔鈴は綾が誰かを呼んだ事に気付き相手がどんな人か尋ねるが、綾は意味深な笑みを浮かべて焦らす



その後一人また一人と呼ばれた恋人や伴侶がやって来るが、反応は様々でありノリがよくその場の空気にすぐに順応する者も居れば、戸惑い気味の者も少なくない

すでにかなりお酒を飲んでいるので悪のりしてる者がカップルをからかうなどあり、若干微妙な空気も流れたりするが全体的には和やかな空気になっていた


「こんばんは～」

そんな中やって来た一人の男性はとても人の良さそうな青年だった

そこそこイケメンなのだが、嫌みがない雰囲気の好青年と言った感じだ


「誰の彼なの！？」

二十代後半らしき好青年に女性達は若干テンションが上がるが、なんとその青年が高宮の夫だった


「思ってたよりイケメンね」

「それに金持ちの嫌みな感じが皆無だわ」

夫が来たことで高宮や鼻高々の様子で機嫌よくなるが、元クラスメート達は高宮の夫が予想以上の好青年だった事実に驚きである

先程まで高宮が自慢していた相手だとは思えないほどの好青年だったのだから


「妻がお世話になってます」

しかもこの男は妙に腰が低く同窓会のメンバーに礼儀正しく挨拶をして回る

何というか高宮の話から成金的なイメージを持っていた元クラスメート達は、驚きを隠せない様子だった


「アンディ！」

高宮の夫に驚いていた元クラスメート達だったが、次の瞬間は更に驚き固まってしまう

筋骨隆々の黒人男性が店内現れると、綾が駆け寄り二人は人目も気にせず抱き合い挨拶代わりのキスを交わしていたのだから


「嘘……、外人なの？」

「そういえば綾はニューヨーク勤務なんだっけ？」

高宮と魔鈴の影であまり目立たなかった綾だったが、恋人が外人だと判明すると一気に注目が集まる

そして驚きという意味では魔鈴もまた元クラスメート達と同じだった

高校時代から割と恋多き女だった綾だったが、まさか外人の恋人を作っていたとは予想も出来なかったらしい



そのまま次々に現れる人物に驚きや納得の声が上がり盛り上がる中、魔鈴の恋人への期待感は更に高まっていた

そんな空気の中でいよいよ横島が店に入って来るが、多くの元クラスメートは横島を見て自分達に関係ない客だろうと勘違いをしてしまう


「横島さん」

その瞬間に魔鈴立ち上がりが声を上げたものだから、元クラスメート達は一瞬にして静まり返っていた


「あれが……」

「普通ね……」

横島の姿に静まり返る元クラスメート達だが、その反応は一応に微妙である

高校時代に誰も落とせなかった魔鈴を落としたにしては横島は普通過ぎた

多くの元クラスメート達は、もっと個性的な人物だろうと勝手に推測していたのである