二次会も進み料理よりも酒が多くなると、元クラスメート達は酔っ払い絡む者も現れ始める

そんな中で誰かが魔鈴と高宮の恋人が見たいと言い出すと、元クラスメート達はその話に乗っかり二人に恋人を呼べないかと詰め寄っていく


「私は別にいいわよ」

若干悪のりする元クラスメートの話に高宮は少し考えた後、魔鈴が呼ぶなら呼んでもいいと挑発するような視線を向ける

そんな高宮の発言に元クラスメート達は盛り上がり魔鈴に期待するような視線が集まるのだが……


「でも二人だけってのは不公平よね。　恋人でも夫婦でも相手が居る人はみんな呼ぶべきよ」

魔鈴に集まる注目を遮るように発言したのは綾だった

何か思うところがあるらしく、呼ぶならみんなが呼ぶべきだと言い放つ


「え～、私相手なんて居ないわよ」

綾の発言に結束して盛り上がっていた元クラスメート達は割れてしまい、恋人が居ないと歎く者や突然で都合がつかないと引く者など様々である

しかし中にはその話に積極的な者もおり、結局呼べる人は呼ぼうとノリで決まってしまう


「どうするの、めぐみ」

恋人を呼ぶ者が一斉に電話をする為に席を立つと、綾は小声で魔鈴に問い掛ける

どうも綾は魔鈴の為に他の人を煽ったらしい

来る人が多くなれば魔鈴と高宮の恋人が見世物のような扱いを受けることはなくなるだろうと考えたようだ


「呼ぶわ。　上手くやってくれると思うし」

綾の問い掛けに魔鈴は少し複雑な表情を見せるが、横島を呼ぶことに決めたようである

魔鈴としては酒のツマミの見世物のような扱いならば嫌だったのだが、およそ十人近くは恋人を呼ぶらしくそれならば大丈夫だろうと判断したらしい

元々横島は社交的で人当たりも悪くないし、下手にイメージばかりが先行するよりはさっさと合わせた方が元クラスメート達も落ち着くと考えていた



その頃横島はタマモ達とのお好み焼きを終えて、地道に勉強をしている最中だった

雪之丞ほど時間をかけてる訳ではないが、オカルトの勉強や魔鈴の魔法に必要な語学の勉強はコツコツやっているのだ


「はい……？」

そんな時、魔鈴から携帯に電話が来た横島はポカーンとしてしまう

突然同窓会で恋人を呼ぶことになったから来てほしいと言うのだ


「まじっすか！？　それじゃすぐ行きます」

突然呼ばれた横島は戸惑いが隠せないようだったが、頼まれるとすぐに行くと告げる

元々ワガママなど言わない魔鈴の頼みなだけに、横島もまた嫌だと言うことは考えられなかったようだ


「こんな時間に何処に行くの？」

「魔鈴さんに呼ばれたんだ。　なんか盛り上がって彼氏や彼女を呼ぶことになったんだと」

横島は先日魔鈴と選んだ服を着て行くことにするが、横島が珍しくオシャレして夜に出掛けようとする姿にタマモとシロは驚いていた


「なんだ。　浮気しに行くんじゃないんだ」

「拙者はてっきり悪代官を成敗しに行くのかと思ったでござる」

「お前らな……、変なドラマの見すぎだ」

横島が訳を話すとタマモとシロはつまらなそうに呟くが、タマモとシロが日頃どんなテレビを見ているのかが分かるようだった