そんな同窓会は何だかんだ言いつつ盛り上がり二次会の会場に移動することになるが、偶然か運命の悪戯か今度は黒塗りの高級車が魔鈴の真横で止まる


「こんなとこで会うなんて偶然ね～　よかったら一緒にご飯でもどう～？」

車から降りて来たのは六道冥菜だった

冥菜はいつもの調子で魔鈴に話し掛けるが、一緒に居た友人達や元クラスメート達は固まってしまう

実際に冥菜の顔を知る者と知らない者が居るようだが、リムジンとボディーガードのような運転手からよほどの金持ちなのはわかるのだ


「すいません。　今日は友人達と一緒なので……」

「そうなの～　残念だわ～　いつも冥子がお世話になってばかりでごめんなさいね～　今度みんなで遊びに来てね～」

相変わらずな様子の冥菜に魔鈴は少し申し訳なさそうに謝るが、当の冥菜はあまり気にした様子もなく世間話程度に一度家に遊びに来てと告げて去っていく

これは魔鈴と冥菜には利害関係などがない為に冥菜は娘の友人として魔鈴を誘っただけなのだが、周りの友人達には様々な憶測を呼んでしまう


「あれ六道グループの会長婦人じゃないの？」

「めぐみってセレブなんだね。　やっぱり凄いわ」

冥菜の正体が伝わると友人達は魔鈴がセレブ生活をしてるのではと勘違いを始める

六道家の本業はオカルトなのだが、よく知らぬ一般人からすると日本有数の企業グループの経営者でしかない

魔鈴自身も本業はレストランだと語ってる為に、セレブ達と付き合い住む世界が違うのだろうと噂をしていく

偶然とは怖いもので銀一に続き冥菜と親しげに話した結果、魔鈴の交遊関係は凄いと誰もが思ってしまったのだ


「あの子いったいどんな生活送ってるの？」

一方友人達と同じで高宮もまた魔鈴の交遊関係に信じられない表情だった

確かに高宮の夫はＩＴ関係の会社の社長だが、六道家は格が違い過ぎるのだから


「流石に六道とは知り合いじゃないみたいね」

「当たり前でしょ！　社長とかのレベルじゃないもの。　ただ六道グループの本業はオカルト事業だし本家はＧＳをしてるって聞いたことがあるわ。　もしかすればそっちの知り合いかも……」

高宮の友人は素直に驚く高宮にも仕方ないと苦笑いしているが、高宮自身はセレブを自称するだけあって多少六道家に詳しいようである


「そうなの？」

「あの子、古い魔法だかなんだか蘇えらせたらしくって結構業界じゃ名が知れてるのよ。　オカルト絡みで交遊関係広いのかも……」

どうやら高宮は魔鈴の経歴も結構詳しいらしく推測を語っていくが、友人はそんな高宮を見て苦笑いを浮かべていた

何だかんだ文句を付けつつも魔鈴を気にしてる高宮は、昔と変わらないのだから

その後友人達に六道家との関係を聞かれた魔鈴が高宮の推測と似たようなことを語ると、元クラスメート達は高宮もまた本当のセレブなのだと実感する

しかし当の高宮は魔鈴が自分よりも注目を集めるのが面白くないらしく、不機嫌そうではあったが……