その後も相変わらず不機嫌そうな高宮だったが、魔鈴に対抗するように自慢話をしていくなど相変わらずだった

まあそんな高宮の姿も元クラスメートからすると懐かしいらしく、それほど険悪な空気ではない

多少の性格の問題はあるが元々美人だし、加えて微妙に天然が入ってる高宮は魔鈴に負けないくらい影では男性に人気だったのだ

高値の花のような魔鈴に対して、欠点が目立つが人間らしい高宮を好きだった男子は割と多かったらしい

しかし当の本人が案外自分に向けられる好意に鈍く、たまに男子に優しくされると同情は要らないと突っぱねたりする為に彼女は典型的な空回り型の人間だったようである


「高宮君が社長婦人か～」

「魔鈴君と離れたら普通にモテそうだったからな」

高宮の自慢話を聞いていた元クラスメートの男性には、あまり表情に表さないが多少残念そうな者もいた

魔鈴の時と違うのはかつて高宮に気があった男性が、あまり表立ってそれを言えないことだろう



「この前なんか、某有名アイドルのお誕生会に呼ばれて行ったのよ。　たくさんの……」

魔鈴に聞こえるように自慢を続ける高宮だったが、当の魔鈴はあまり関わりたくないらしく聞こえないフリをしている


「あの人も相変わらずね～　旦那の顔が見てみたいわ」

「私は別に……」

魔鈴を挑発するように必死に自慢する高宮の姿に綾は密かにクスクスと笑みを浮かべるが、魔鈴はやはり関わりたくないらしい

かつて高宮の影響で人気が出た魔鈴だったが、本人は微妙に迷惑だったようだ



そんな賑やかな同窓会だったが、空気が一変する事態が起きる

同じレストランに数人の芸能人が入って来たらしく、レストラン内の空気が微妙に変化したのだ


「あれ、魔鈴さんじゃないですか？」

その瞬間、魔鈴の周りの元クラスメート達は静まり返っていた

やって来た芸能人の中に銀一が居たようで、魔鈴を見つけて声をかけて来たのだ


「あら偶然ですね」

「この前はごちそうさまでした。　俺はこれから打ち上げなんです。　魔鈴さんは？」

「私は同窓会なんです。　相変わらず忙しそうですけど、体調には気をつけて下さいね」

銀一に気付いた魔鈴はいつものように挨拶をして世間話程度の話をするが、そんな魔鈴と銀一に元クラスメート達はポカーンとしてしまう


「また時間が出来たら行くんで、横っち達によろしく」

魔鈴に挨拶した銀一は、元クラスメート達にも軽く一礼すると奥の個室の方に行ってしまった

しかし超人気アイドルと仲よさ気に話をしていた魔鈴には、元クラスメート達の信じられないと言わんばかりの視線が集まっている


「ちょっと！　めぐみどうなってるのよ！？」

ポカーンとしていた友人達は我に帰ると銀一と親しげに話をしていた理由を問いただすように集まっていくが、魔鈴はあまりの反応に驚くばかりだった


「私の彼の幼なじみなんです。　その関係で何度かお会いしただけなんですが……」

友人達の反応に魔鈴は銀一の人気を改めて実感するが、同時に一緒に旅行に行った件などは絶対言えないと心に誓う