嵐を呼ぶ再会

その後、元クラスメート達が続々と集まると同窓会は賑やかに始まる

いつの間にかいくつかのグループが出来て互いの近況や昔話に華を咲かせる元クラスメート達だが、一番注目を集めていたのはやはり魔鈴だった


「魔鈴君に恋人が出来たなんて……」

魔鈴に恋人が出来たとの話の反応は一人一人それぞれ違うが、男性には明らかにショックを受けている者もいる

その中には密かに魔鈴を口説こうと狙っていた者などもおり、彼らは特に残念そうであった


「相手が年下なの!?」

「信じられないわ」

一方高校時代から魔鈴と親しかった女性の友人達は、魔鈴の恋人が高校卒業したての年下だという話で持ち切りだった

高校時代全く恋愛をしなかった魔鈴が大学を卒業してから高校生と付き合うなど、誰も予想出来なかったらしい


「ちょっと不器用だけど、優しくていざという時は頼りになる人なんです」

恋人の事を根掘り葉掘り聞く友人達に魔鈴は言える範囲で答えるが、それは惚気てるようにしか聞こえないほど魔鈴は幸せそうである



そんな賑やかな魔鈴の周辺とは対称的にピリピリしていたのは高宮であった


(あの女、またわざとらしく注目を集めて……)

あからさまに不機嫌そうな表情を見せる高宮だが、彼女はやはり魔鈴の行動が気に入らないらしい

周りにチヤホヤされたくて有りもしない事や大袈裟な事を言ってるのだろうと、苛立ちを募らせていく

この高宮という女性は昔からとことん魔鈴とは合わないらしく、何をしても気に入らないことが多かったらしい

元々の原因は彼女が好きだった男性が魔鈴にフラれたのが苛立ちの始まりなのだが、魔鈴自身は今だにそれを知らない為に意味の分からぬまま彼女に嫌われてた高校時代だったりする

この高宮の実家はそこそこの裕福な家庭であり、当時孤児院から通っていた魔鈴に対して何かと自慢したり比べたりして魔鈴の本性を暴こうと必死だった過去があった

高宮本人は全く気付いてないが高校時代に魔鈴が異性に爆発的な人気が出た原因は高宮にあり、彼女の嫌がらせ紛いの行動が余計に魔鈴の魅力を引き立ててしまったのだ

本来ならばその性格の悪さから同級生からも嫌われそうな高宮だが、おかげで彼女の扱いはどちらかと言えば可哀相な人である

彼女が魔鈴を気に入らないと突っ掛かれば突っ掛かるほど魔鈴の人気が出るのだから、最早周りは喜劇かコントにしか見えなかったらしい


「そんなにめぐみのこと睨まなくても貴女は十分幸せなんでしょ? ならそれでいいじゃない」

高宮と親しい友人は魔鈴を睨む高宮に懐かしさを感じつつも、自分が幸せならば魔鈴を気にするなと言う

まあ過去の傾向からして高宮が魔鈴を気に入らないと感じて何かすると結果的に魔鈴の人気が上がることから、また余計なことをして高宮自身が惨めな思いをするのではないかと友人は心配していた


「一度でいいからあの子に恥をかかせて本性を暴きたいと思わないんですの!?」

「思わないわよ。 だいたい人を恨んでもいいことないもの」

魔鈴の顔を見たら何か気に入らないと苛立ちを募らせる高宮だったが、高校時代の高宮を知る友人は不毛な恨みは自分に帰って来るとシミジミ実感してるらしい


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