「いろいろ自慢してたわ。　なんでも芸能人と友達だとか、セレブのパーティーの常連だとか……　私は幸せなのよってアピールが凄いわ」

エレベーターホールで立ち話をする魔鈴と友人だったが、高宮が語った自慢話が話のタネにされていた

友人いわく自慢する程度なら本物のセレブじゃないだろうとの推測である


「そういえばめぐみは今どうしてるの？」

「私はレストランを経営してますよ。　イギリスで研究した魔法技術を生かした魔法料理を提供する店を開いたんです」

高宮の話に魔鈴があまり乗っていかないので友人は話の話題を変えるが、魔鈴がレストランを開いたと聞くと驚きの表情を浮かべた


「凄いこと始めたわね～　でもやっぱりＧＳにらならなかったんだ。　高宮さんをギャフンと言わせてくれるかと期待してたのに」

高校時代からＧＳにはあまり興味がないと断言していた魔鈴なだけにＧＳにならない事は予想出来ていたが、まさか魔法料理などという新しいジャンルを作るとは思いもしなかったらしい

まあ友人としては魔鈴がＧＳをしていて、自称セレブ妻の高宮をギャフンと言わせる展開を期待していたようだ


「一応ＧＳ免許は取ったんですよ。　ＧＳの活動も店の営業に影響がない範囲でやってますけど……」

「へ～、ＧＳが副業なんだ。　めぐみらしいわね」

本当はＧＳとして仕事をする気は無かったのだが、魔法の修業を兼ねてＧＳを始めたら辞められなくなったと説明すると友人は笑っていた

一般人からしたらＧＳは別世界の職業だが、高い料金の割にサービスが悪いとか本当に高い料金が必要だったのかなど微妙な噂話も多い

良心的な仕事をして辞められなくなったと聞くと、魔鈴らしいと思わず笑ってしまったようだ



「めぐみ！」

「久しぶりね、綾」

そんな風に魔鈴が友人と話をしていると先日帰国した綾がやって来る

数年ぶりの再会に、お互い昔を思い出して素直に喜びを表していた


「めぐみ綺麗になったね。　いい彼氏見つけたんだ～」

「えっ、とうとうめぐみも彼氏見つけたの？」

数年ぶりの再会で以前より綺麗になったと感じた綾は、魔鈴が幸せなのだと瞬時に理解したようである

一方先程まで魔鈴と話していた友人は、高校時代に数々の男性を振っていた魔鈴がとうとう彼氏を作ったという話題に食いついていた

それだけ高校時代の魔鈴では恋人を作る事は考えられなかったらしい


「もう～、私だって恋の一つや二つはするわよ」

恋人を作っただけでそれほど驚かなくてもいいだろうにと多少苦笑いを浮かべて抗議する魔鈴だったが、高校時代の感覚の友人からすれば信じられないようだ


「相手はどんな人なの？　やっぱりエリートかなんか？」

「いえ普通の人ですよ。　ただ今年高校を卒業したばかりなんですけど」

恋人に食いつく友人に魔鈴はちょっと困った表情で説明するが、その答えに二人共に驚き固まってしまう


「まさか年下だったとは……」

「今日の同窓会荒れそう」

魔鈴の恋人が少し前まで学生だったと聞いた綾と友人は信じられないといった表情で、今日の同窓会が荒れることを確信していた