そして次の日になり店を早めに閉めた魔鈴は、少し前に横島が選んだ服を着て同窓会に向かおうとしていた

数年ぶりに友人に会うことが待ち遠しいらしく、先程から慌ただしく準備をしている


「じゃあ行って来ます」

笑顔で出掛けて行く魔鈴を見送った横島達は、自分達の夕食をどうするかを考え始める

魔鈴は事前に用意して行こうか尋ねたのだが、横島がたまには適当に食べるからいいと断っていたのだ


「たまにはお好み焼きにでもするか？　昔大阪に住んでたから、お好み焼きは多少自信があるぞ」

タマモ・シロ・雪之丞の三人と夕食を話し合う横島だったが、横島が作れる物など限られている

ちなみに四人の中で一番料理が上手いのはタマモで次がシロだった

タマモは元々料理の経験はないが持ち前の器用さを発揮したのか、いつの間にか料理が上手くなっている

伊達に魔鈴の助手を一人で勤めてる訳ではない

シロに関してはフロア担当なだけにタマモに少々差を付けられているが、流石に調理する時間が違うので仕方ないだろう

それにその分シロの接客は非常に評判がよかった

最低限のマナーは出来てるし、何よりシロの笑顔の評判が凄いのである

よくある営業スマイルではなく本当の笑顔に見えるシロの接客は、妙に肩肘張った態度の接客よりも評判がよかったのだ


「お好み焼きって作ったことないわね」

「肉がいっぱい入ったお好み焼きがいいでござる！」

魔鈴の助手をしていたタマモだったが、レパートリーはまださほど多くない

地味に料理の面白さにはまっているらしく、作ったことのない料理には興味津々な様子だった

対してシロだが、こちらは精神年齢もあり言わずと知れた様子である

結局横島達は賑やかに騒ぎながら夕食を作ることになった



一方同窓会に向かった魔鈴が到着したのは、横浜市内の高級ホテルのレストランである


「久しぶりね～　貴女は変わらないわね」

ホテルのエレベーターを降りた魔鈴は、レストランの前で懐かしい友人に声をかけられていた

さほど親しい訳でもなかったが、三年には同じクラスになった友人である


「久しぶりね。　もうみんな着いてるの？」

「綾はまだよ。　高宮さんはもう着いてるわ。　なんでもＩＴ関係の社長と結婚したとかで自慢してるわよ。　めぐみに自慢したくって我慢出来ないって感じかしら？」

友人に誰が着てるのか尋ねる魔鈴だったが、高宮という名前を聞くと微妙に表情が曇る

高校時代の魔鈴が一番苦手だったクラスメートが高宮という女性だった

そもそもの原因はくだらない物だったのだが、当時高宮は魔鈴が気に入らないらしくことある事に張り合おうとしていたのだ

まさか同窓会まで張り合おうとされるとは思わなかったらしい


「私、高宮さんとは合わないのよね」

「私も自慢話なんか聞きたくないから出て来たの。　もうちょっと人が増えるまで入らない方いいわよ」

店内ですでに自慢話をしてる高宮に魔鈴と友人は苦笑いを浮かべてしまうが、それもまた昔の懐かしさが入り混じっている