嵐を呼ぶ再会

同じ頃、美神事務所では令子が渋い表情で目の前の人物を見ていた


「見学だけでいいんでお願いします」

この日美神事務所を訪れていたのはおキヌに頼み込んで来た魔理である

先日唐巣の除霊を見学した際に、どうせならばいろんなGSに見学を頼めんで勉強すればいいと勧められていたのだ

あの後数日考えた魔理はおキヌに頼み込んで、今日令子に会わせてもらったのである


「おキヌちゃんの友達だし見学なら構わないけど弟子は無理よ。 先生のとこでも言われたかもしれないけど、見習いを抱えるのは簡単じゃないの」

あまり気が進まないと顔に出てる令子だが、流石におキヌの友達なだけに扱いはよかった

本来ならばこの手の弟子入り絡みの話は聞くまでもなく断ってしまうのだから


「はい、ありがとうございます」

実際魔理も令子の弟子になれるなどとは思ってない

世界的に有名なGSだし弟子入り志願者が多いのは想像するまでもないのである

しかし魔理は世界最強と言われる令子の力を見て見たかったのだ

それにアシュタロスの真実を知った今、実際の令子がどんな人間かも興味があった


「おキヌちゃんに聞いたんだけど先生の見学もしたんだって? 先生は相変わらずだったんでしょうね」

おキヌに魔理の見学を頼まれた際に、令子は唐巣の見学をしたと聞いて苦笑いを浮かべたらしい

令子と唐巣はある意味対極に居るGSと言ってもよかった

令子は唐巣と違い依頼人に私情は挟まないし同情もしなく、ただ頼まれた依頼を解決するだけなのだから


「正直、あんなに除霊以外で気を使うなんて考えたことなかったです」

「先生は特別よ。 まあ依頼人に気を配る人は他にも居るけど、みんなが先生みたいに出来る訳じゃないわ。 それに望んでない人も多いしね」

唐巣の除霊の見学内容に令子の表情が僅かに引き攣るが、そのまま令子は対極的な観点からGSについて簡単に語っていく

確かに唐巣のやり方は素晴らしく多くの人を救っているが、そこまで望んでない人もまた世の中には多かった


「まあ、いいわ。 私のやり方は普通だから見てれば分かるわよ」

令子自身は自分は普通だと考えてるらしく唐巣のように人助けとは違うと言おうとするが、説明に面倒になったのか見てれば分かると途中で説明を止めてしまう



その後さっそくこの日の午後に魔理は令子の除霊を見学するが、それはしごく普通の除霊であり特に驚きなどなかった

依頼人にも必要以上に関わることがない令子のやり方は唐巣とは正反対だが、依頼人もそれ以上望んでない様子なのだ


「貴女がどんなGSを目指してるのか知らないけど、仕事と人助けは別問題なの。 先生は人助けだけど私は仕事。 貴女も中途半端に考えるのだけは止めておいた方がいいわよ」

結局令子が魔鈴に語ったのは唐巣との考え方の違いだけだった

小難しいことは唐巣にでも聞いてるだろうと考えた令子は、唐巣とのバランスを取るように実際のGSのドライな一面を僅かに教えただけで終わる

魔理はあまりにドライな令子に驚きを感じるが、令子が以前と変わってることには気付くはずもなかった

何はともあれ魔理の二回目の見学は淡々と終わっていた


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