嵐を呼ぶ再会

一方この頃の令子はおキヌがGSになる上での環境整備を積極的に行っていた

母親である美智恵は元より六道家にも頼み、GS協会幹部でさえ少なくない金額の裏金を払っている

出来るだけおキヌの存在が世間の注目を集めないように、そして厄介な事件などに巻き込まれないようにと令子は神経質なほど動いていた


「令子ちゃんは相変わらずね~」

この日六道家では冥菜が親しい幹部から令子の動きを聞いている

硬軟織り交ぜた相変わらずの手法で協会幹部に金をばらまいてる現状を聞いた冥菜は、何故かクスクス笑っていた

素直じゃないと言うか他人が信用出来ない令子は、金を与えると同時に相手に舐められないようにもしている

そんな令子の行動に反感を感じる協会幹部もいるが、だからと言って令子と戦う者などいない

結局令子の行動は上手くいくのだが、当然六道家には全て伝わっている


「まあ気持ちは分からなくはないのですが……」

冥菜に報告に来た協会幹部は令子の行動に何とも言えない表情をしていた

ネクロマンサーという貴重な能力はGSならば誰もが欲するような便利な能力なのだ

そんな能力があるおキヌを利用しようと考える者など腐るほど居る

まあ令子がおキヌを六道女学院に通わせた最大の理由は、教育よりも六道家の後ろ盾を欲していたからに他ならない

令子が神経質になる理由は協会幹部も理解するが、反面で相変わらず好き勝手する令子への不満も少なくなかった


「おキヌちゃんはとってもいい子よ。 それにうちの学校の卒業生に不幸になって欲しくないわ」

おキヌの将来については冥菜も少し危惧している

ネクロマンサーは対霊においては無敵の能力とも言えるが、反面では霊の心を理解し過ぎるが故に潰れる者も少なくない

相手の気持ちを理解して除霊するのはそれだけ危険なのである

おキヌな精神的な不安定さは冥菜も聞いており、おキヌが潰れないか以前から心配していた


「ネクロマンサーは難しい能力ですからね。 まあ美神令子の弟子にちょっかいを出す者はいないでしょうが……」

冥菜は令子の行動を全て黙認しており、おキヌの今後に関しては協力もしている

しかし実際のところ日本には、おキヌに手を出すような馬鹿は居ない可能性が高い

良くも悪くも有名な令子の関係者にちょっかいを出せばどうなるかなど、誰の目にも明らかなのだから


「能力や個人に頼る方法はアテにしちゃダメよ~ その為に私達は高いお金を貰ってるんだから~」

今のところGS協会に動きはないが、冥菜は改めておキヌに期待しないように釘を刺す

個人の能力に頼るような協会の運営だけはダメだと冥菜は以前から告げているのだ

かつてのアシュタロス戦のような危機ならともかく、平時において特定の個人に頼るような事態は決して組織として好ましくない

一般の能力や人員でも対応出来るように常に準備しなくてはダメだと冥菜は考えている

そう言った意味では冥菜はおキヌに過剰な期待はしてなかった


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