嵐を呼ぶ再会

さて人狼の村に戻った横島達だが、前回のお礼にと今回は魔鈴達で人狼達にご馳走することになった

しかし魔鈴も流石に昔ながらのかまどは使った事がなく、シロや他の人狼の女性の助けを仮ながら料理を進めている


「これ何に使うのかしら?」

料理は順調に進んでいくが、人狼の女性達は魔鈴が持参した調味料に興味津々だった

人狼の里にも調味料はいくつかあるが、それは昔ながらの調味料や基本的な調味料が大半であり洋食の調味料などはない

魔鈴が持参したオリーブオイルやハーブ類は見たことすらないようだ


「これはですね……」

魔鈴は一つ一つ調味料を説明しながら使い方を教えていき、いつの間にかお料理教室のようになってしまう

人狼も最近はいろんな調味料や食材を人間の街から買って来るが、冷蔵庫がないだけに保存には苦労するようだ

まあそれでも近くの山の鍾乳洞などを利用して夏場もそこそこ保存は出来るようだが、村から人狼の足で徒歩一時間という不便な状況である


「これはお肉たっぷりのホワイトシチューですよ」

そのまま料理は進むが魔鈴が人狼に振る舞う料理は、ホワイトシチューなどの洋食だった

基本的に人狼の里では乳製品は貴重品だとの情報をシロから聞いていた為に、乳製品をふんだんに使った料理を作るつもりらしい



その頃横島は何故か人狼の男性と手合わせしていた

元々人狼では男性が料理などをすることがなく、狩りや畑仕事や武芸を磨くことが普通らしい

その為横島は人狼の男性に誘われるままに、手合わせすることになってしまったのだ

どうもシロが過剰に横島を褒めることから、人狼達の間で横島の実力が噂になっていたようである


(強い。 剣の勝負にしたら勝てないな)

人狼族の中年男性と手合わせする横島だが、その実力は確実にシロより上だった

霊波刀に関しても人狼流の剣術があるようで、正直横島の剣では勝負にもならない

天狗や小竜姫に比べれば弱く未熟な上、実戦経験がないので横島でも対応は出来るが相手との距離にはかなり気を使っている

というか相手の間合いで戦うと勝てる気がしなかったのだ


「本当に強い。 話には聞いていたが、数年でまさかここまで力を付けるとは……」

一方驚いていたのは横島ばかりではなく人狼も同じだった

身体能力も剣の腕も人狼が上なのに、戦いは横島が圧倒的に有利に進めてるだけに人狼達の驚きも大きい

まあ横島も人狼のスピードに対抗する為にかなり霊力を使っており、人狼が考えるほど余裕はないのだが


(確かにあの時の子供がこれほど強くなるとは…… しかも隠し玉を残して我ら人狼族を圧倒するなどあの時からは考えられんな)

人狼族の者達が横島の戦う姿に驚きの声をあげる中、文珠の存在を知る長老は横島の変化に改めて驚きを感じている

まあ文珠に関しては隠してると言うよりは日頃から使わないようにしてるだけなのだが、長老は知らないため軽く誤解をしていた


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