嵐を呼ぶ再会

そのまま残暑厳しい九月が過ぎていくが中頃に入ったこの日、唐巣の教会にタイガーと一文字魔理が訪れていた

緊張した表情の二人は唐巣を前にして深く頭を下げたまま、ある頼み事をしている


「見学だけならばいいが、だがもし私に弟子入りしたいと考えてるならそれは難しいよ」

困った表情を浮かべる唐巣は頭を下げたままのタイガーと魔理に声をかけるが、その答えに二人は落胆した表情を見せる

実はこの日二人は魔理の卒業後を考えて、唐巣に除霊の見学をさせて欲しいとお願いに来ていたのだ

今回は純粋な見学を頼みに来た二人だが、唐巣をよく知るタイガーが上手くいけば唐巣に弟子入り出来る可能性もあると告げていたのである

唐巣はそんなタイガーと魔理の考えを見抜いていた


「君達だから教えるが、私の元には年間に何十人も弟子入りの志願者が来る。 だが基本的には全てお断りしているんだよ」

人格者であり評判のいい唐巣には年間を通して弟子入り志願者が絶えない

魔理のように業界に知り合いの居ない者や、人格者の唐巣の弟子になりたくて頼みに来る業界関係者もいる

しかし唐巣は弟子入りに関しては、よほどの事情が無ければ全て断っていた

唐巣一人では弟子に出来る人数は限られているし、弟子を取ったり取らなかったりすると相手方が納得しないのだ

中には業界の有力者などの紹介状を持参する者などもおり、一々弟子にしてたらきりがないというが現状である


「見学だけでもいいんで、お願いします!」

気合いが入った表情の魔理は強い口調で見学だけでもいいからと頼むのだが、正直唐巣はあまりいい表情をしない


「本当は見学も許可してないのだよ。 君にはあの事件で一度話をしてしまったからね。 それと余計なお世話かもしれないが、髪型はもう少し考えた方がいい。 髪の色はまだいいとしても、除霊の時は最低限のマナーは守って貰わねば見学も許可出来ないよ」

見学を許可する唐巣だが、その条件として髪型の問題を口にする

唐巣としてはあまり煩く言うつもりはないが、相手に威圧感を与えるような魔理の髪型は流石に問題だった


「はい……」

微妙に納得がいかない表情の魔理だったが、流石にここで口答えするほど疎かではないようだ


「基本的にGSも客商売だからね。 あまり攻撃的な髪型とかは困るんだよ。 相談者を怯えさせたら話にならないからね」

言葉こそ選んでいるが見学以前の問題だと言う唐巣に、魔理の表情はあまり冴えない

学校や家でも散々言われてることだけに理解はしてるが、素直に受け入れるには何か抵抗があるようである


「明日の夕方一件の除霊が入っている。 見学は許可するが、その髪型は変えて欲しい」

「解りました。 お願いします!」

多少不満はあるようだが、見学を頼む以上指示には従うようだ

まあどちらにしろ今のままの態度や髪型では、弟子入り先など見つかるはずがないと一応理解してるらしい


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