嵐を呼ぶ再会

「ええ、私に彼が出来たら会わせる約束なんです」

「魔鈴さんに恥をかかせる結果にならなきゃいいんっすけど」

綾と横島を会わせるのが楽しみな魔鈴に対して横島は不安そうである

自分なんかが魔鈴の恋人だと行けば魔鈴が笑われるのではないかと、横島は本心から心配していた


「大丈夫ですよ。 私の親友なんですから信じてください」

本当は自分自身を信じて欲しいと言いたい魔鈴だったが、横島が自分を信じれないことをよく理解しているから言えるはずがない


(そんなに見た目も悪くないんですよね。 自信さえ持てばモテる部類に入る気も……)

横島の最大の欠点は自信の無さだと思う魔鈴は、自信さえ持てばモテる男になる気がしてならない

ただしモテる横島をイメージすると何故か父親である大樹を思い出すため、あまりいいイメージではなかったが


「私の服が終わったら、今後は私が横島さんの服を選びますね」

横島に短期間で自信を持たせるなど不可能だと理解してる魔鈴だったが、自分で横島をコーディネートすればどうなるのか興味が湧いてくる

結局今日はお互いの服を選ぶことになった


「思ってたよりセンスがいいですね」

その後横島が選んだのはロングスカートのワンピースである

割とオーソドックスなタイプだが、店員によると今年の流行も取り入れたデザインだという言葉で決めたらしい

コーディネート次第ではカジュアルでもフォーマルでもいけることから最近人気の服だということだ

まあどちらかといえば大人しめのワンピースなのだが、地味ではないしコーディネートしやすい服という点で横島は選んだようである

そのまま二人は小物やアクセサリーを少し買って横島の服を選び始めたのだが、紳士服のショップで魔鈴は少し悩んでいた


(基本的にカジュアルな服の方が似合うんですよね)

男性の場合は無難なのはスーツなのだが、横島はスーツよりもカジュアルな服の方が似合っている

ただあまりカジュアル過ぎると高校生か大学生にしか見えないのが難点だった


「これなんかいいですね」

しばし悩んだ魔鈴が選んだのは、カジュアルなスラックスとジャケットである

結局は先程横島が選んだ服に合わせことにしたようだ



「魔鈴さんの友達って何してる人っすか?」

「外資系企業で働いてるんです。 現在はニューヨーク勤務ですから私も久しぶりに会うんですよ」

買い物も終わり帰路に着く二人だったが、横島は魔鈴の友人である綾に興味があるらしい

しかし話を聞く限りどうもバリバリのキャリアウーマンらしい綾に、横島は母親である百合子や美智恵を想像してしまう

横島の中ではキャリアウーマンはあまりいいイメージがないのかもしれない


「ナンパだけはしないで下さいね」

「しないっすよ! するはずないじゃないっすか!?」

冗談混じりに綾だけはナンパだけはしないでと言う魔鈴に、横島は割と本気で否定していた

魔鈴としては横島をからかっただけなのだが、横島は疑われてるのかと誤解したらしい


「冗談ですよ」

クスクスと笑う魔鈴に横島はホッとした表情をして、ようやく冗談だと悟ったようだ

そのまま二人は帰っていくが、端から見るとイチャついてるようにしか見えない事実には魔鈴ですら気付くことはなかった

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