「横島さん、私は同窓会に行くんですが……」

横島が選ぶのを最初は嬉しそうに見ていた魔鈴だったが、横島があまりに肌の露出が少なく地味な服を選んでいくので流石に困った表情になる

そのうち全身黒ずくめの服でも選びそうな雰囲気にたまらず声をかけていた


「分かってますよ。　でも、なんと言うかちょっと……」

分かってると言いつつ言葉を濁す横島は、何やら不安そうな表情を僅かに見せる


「ちょっと……？」

言葉と表情の意味をまるで理解出来ない魔鈴は僅かに首を傾げて意味を考えていくが……


「！？」

横島の考えに気付いた魔鈴は思わず驚きクスクス笑ってしまう


「私の浮気が心配ですか？」

「いや、その信じてますよ。　もちろん！　そんな心配するはずないじゃないっすか」

僅かにクスっと笑みを浮かべた魔鈴は単刀直入に尋ねるが、横島はあからさまに慌てた様子で否定する

しかし目が泳ぐなど分かりやすい動揺をしていた


（横島さんって結構独占欲が強いんですよね。　これも自己不信の影響もあるのかもしれませんね）

基本的に横島は独占欲を見せないようにしているが、横島の思う以上に独占欲が見えている

魔鈴は横島の独占欲の根底には根強い自己不信と自信の無さがあるのではと思う

自分に自信がなく信じられないが故に、強い独占欲が生まれるのではと思ったのだ


「私は人より身持ちが固いんですけどね。　そんなに心配なら横島さんも来ますか？」

「いや信じてますって！」

嬉しいような困ったような魔鈴がいっそのこと一緒に行くかと尋ねるが、横島は信じてると言い切って否定する

事実横島は魔鈴を信じているが……、それでも心配なのだろう


「はっきり言うと私と横島さんは、どちらが浮気しても恐らく隠し通すのは不可能ですよ。　シロちゃんとタマモちゃんには必ずバレます」

信じていても心配になる横島に魔鈴はどうするべきか困っていたが、元々横島と魔鈴は浮気など不可能な環境だった

人狼のシロと妖狐のタマモに隠して浮気するなど人間技では不可能なのだ


「おっ！　これなんかいいっすねー」

困ったような魔鈴に独占欲と言うか心配してる事実を隠したい横島は、無理矢理に話を変えるように服選びに戻るがその後は流石に地味過ぎな服を選ぶことはなくなっていた


（アンバランスですね）

どうも独占欲や嫉妬を見せて嫌われたくないという意識の強い横島だが、緊張感が薄いのか分かりやすい嘘である

緊張感が高まると横島の嘘はタマモやシロでも分からぬほどになるのだが、基本的に緊張感が薄いと昔と変わらぬままなようだ

そのあまりのアンバランスさに魔鈴は何故か可笑しくなって笑ってしまう


「そういえば私の高校時代の親友が同窓会に合わせて日本に帰国するみたいなので、横島さんにも会って欲しいんです。　ですから横島さんの服も一着買いましょうね」

「魔鈴さんの親友っすか？」

悩みながら服を選んでいる横島に魔鈴は突然自分の友人に会って欲しいと言い出す