嵐を呼ぶ再会

数日後の店の定休日、横島と魔鈴は二人で都内のとあるショッピングモールを訪れていた


「似たようなショップがいっぱいあるんっすね」

「今人気のショッピングモールみたいですから、世界の有名ブランドショップもあるみたいですよ」

普段はあまり来ないショッピングモールで女性の服が並ぶショップを見て歩く横島と魔鈴だったが、この日は魔鈴が同窓会に来ていく服を買いに来ている

特別デートと意気込ん来た訳ではないが、以前愛子達に言われるがままにデートして以来横島と魔鈴は二人だけで出掛ける事がたまにあった

タマモとシロが気を遣ったとも言えるし、横島と魔鈴もあの時ほど意気込む事はないが気軽に二人で出掛ける機会をたまに設けていたのだ


「そういやあ魔鈴さんって、あんまりブランド物持ってないっすね」

「ええ。 別に有名ブランド物が嫌いな訳ではないんですが、それほど欲しいとも思わなくて……」

誰でも知ってるような有名ブランド店を見つけた横島は魔鈴が持ってる服やバックなどで見知ったブランド物を見た事がないと気付くが、どうやら魔鈴はあまり興味がないらしい


「普通にショッピングして欲しいと買う事もありますし高価な物も多少ありますけど、ブランド物だからと集める趣味は私にはないですね」

デザインや機能性などを見て欲しければ買うかもしれないが、わざわざ有名ブランド物だからと買う事はないと魔鈴は語る


「へ~、そうなんっすね」

「女だからと言ってみんな高価なブランド物が好きだなんて考えてはダメですよ。 正直日本人ほどブランド物が好きな国はないかもしれないですし……」

ブランド物にあまり興味がないと言う魔鈴に横島は少し不思議そうだが、魔鈴はそんな横島の女性に対するイメージに苦笑いを浮かべてしまう

令子やエミや冥子などのイメージが強いのだろうが、魔鈴の価値観では何故日本人はブランドの名前だけで欲しがるのか理解に苦しむくらいなのだ


「せっかくですから、今日は横島さんに選んでもらいましょうか」

「えっ!? 俺っすか!?」

場違いだと感じてるのか多少居心地が悪そうな横島をクスッと笑ってしまった魔鈴は、せっかくだから横島の趣味で服を買いたいと横島をショップに連れていく


「魔鈴さんなら何着ても似合うっすよ」

「そういう言葉が一番困るんですよね」

同窓会に着ていく服なのでそこそこしっかりした服でなくてはならないし、かと言ってあまり堅苦しい服でもダメだった

高校卒業以来初めての同窓会だし、魔鈴は着て行く服に悩んでいる


「それはちょっとスカートが短いような…… そっちは胸元が空きすぎだし……」

魔鈴は何を着ても似合うと本気で言っていた横島だったが、同窓会に着て行く服に関しては意外と言うほど細かい点を気にしていた

特に肌の露出部分に関しては神経質なまでに注目して、ぶつぶつと文句を付けている

どうもちょっとでも露出部分を減らしたいらしく、どんどん地味な服を選んで行こうとしていた


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