嵐を呼ぶ再会

西条のこの夏は忙しいままだった

六月の無差別殺人事件の捜査協力も続いており美智恵が忙しい為に、オカルトGメンの本来の任務は西条に負担がかかっている

この件に関しては西条の不手際により美智恵の仕事が増えただけに、西条は若干肩身の狭い思いをしていた

まあ美智恵は決して西条を責めはしないが、悪化した警察との関係改善や捜査の混迷の隠匿などに大変なのは理解しており申し訳なさはあるようだ

そんな西条だが、忙しい仕事の合間に前回の事件の反省から心霊捜査を一から勉強し直している

相変わらず心霊捜査の導入は諦めてないらしく、次の機会を待ちつつ前回の失敗の原因や過去の捜査例などを積極的に勉強していた


次に令子との関係だが、こちらは最早自然消滅の一歩手前である

以前は積極的に食事やお酒などを誘っていた西条だが、その回数は次第に減っていた

六月の事件以来何かと忙しいと言えばそれが理由なのだが、最近はせいぜい昼食を一緒に取るくらいである

相変わらず令子への執着は残っており未練もあるようだが、現状の関係に困っているのも確かなのだ

とりあえずは仕事に集中することで時間を使っているが、二人の関係は改善の糸口すら見えなかった



次に美智恵だが、こちらもオカルトGメンの仕事で忙しい日々だった

先程も語った事件の捜査や他にもアシュタロス戦により関係が悪化した警察やGS協会などとの関係改善にも忙しい

六道家が中立というか黙認してるうちに、関係各所との関係を改善したい思惑がある

横島の独立問題の時は随分熱くなった美智恵だったが、現在はこれ以上の揉め事を望んではいなかった

野心や向上心が高い美智恵だが、その前に二人の娘の未来を守る為の足場を固める必要があるのだ

政府を始めオカルトGメンとの関係があまり良くない関係者との和解は急ぐ必要があった


そんな美智恵が現在一番恐れてるのは横島である

小竜姫の庇護の元で横島がアシュタロス戦の真実を盾に美神家に復讐をしたいと願えば厄介どころの話ではないのだから……

横島や魔鈴が美智恵や令子の考えを読めないように、美智恵もまた横島の考えが読めずに警戒している

横島本人は美神家と関わるつもりなど全くないが、小竜姫が限定的とはいえGS協会に介入したことで横島のオカルト業界での存在感が増してしまったのだ

これは横島をオカルト業界から守る為に行った小竜姫の苦肉の策なのだが、それによりただでさえ影では有名だった横島の存在感が目立ってしまった

結果的に美智恵はあるはずのない復讐を恐れ警戒する日々が続いている


結果この夏は夫である公彦の帰国には休んだが、他は休めないほど忙しい日々だった

彼女の娘を守る戦いはこれからも続いていくようである


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