弓かおりの夏休みは例年とさほど変わらない夏休みだった

自宅と学校で修行を積み重ねるだけであり、その姿は一時期よりはだいぶ良くなっている

雪之丞との関係が終わったかおりだが、その後はあっさりしたものだった

まあ元々引きずるほどの思い出がなかったと言えばそれまでだが、かおりにしてみれば雪之丞や横島はどこか違う世界の人間のようにも感じている

唯一の悩みはおキヌに隠したままである点なのだが、これは最早言うタイミングを逸したとしか言いようがない

自分の仕出かした過ちだけならばよかったのだが、結果的に横島側の苦悩や気持ちをおキヌより先に知ってしまった為に更に言えない状況になってしまったのだ

将来的に嫌われるかもしれないがここで第三者である自分が、これ以上おキヌに何かを言うのがよくないと考えるしかなかったのかもしれない

そんなかおりは現在ＧＳ試験や臨海学校で雪之丞との実力差を見せつけられたその差を埋めるべく、努力を重ねることが精一杯の日々だった



そして一文字魔理の夏休みだが、彼女はアルバイトと学校での修行の日々だった

元々一般家庭の魔理は中学時代の行動もあり、親とはあまり上手く行ってない

それでも私立高校でもトップクラスのお金がかかる六道女学院の霊能科の学費や諸経費は払ってくれるのだが、高い学費や諸経費に魔理としては出来るだけ自分で稼ごうとバイトをしてるのである


そもそも一般家庭に生まれた者がＧＳになるのは簡単ではない

一番簡単なのはＧＳへの弟子入りなのだが、こちらはいろいろとリスクが大きいのだ

ＧＳ本人の実力や指導力は一般人からは分からないし、霊能の修行は未成年から始めなくては伸びないが将来物になるか分からない霊能力の為に弟子入りするには多少リスクが大きかった

その点六道女学院は一般人に優しいと言うか分かりやすい方法である

素人にも分かりやすい指導方法や複数居る霊能者の教員、それに仮にＧＳが無理でも系列の六道大学への進学や六道グループの企業への就職率が高い事が人気の秘訣だった

その授業料は一般家庭には負担だが、危険やリスクを考えると一番安定して人気なのも当然のシステムである



さて話が少しずれたが、魔理の両親は正直ＧＳよりも進学か就職を望んでいた

グレた娘が将来に希望を持ち真剣に頼んだゆえに六道女学院に入学する事を認めたが、ＧＳの危険性などを考えると普通に生きて欲しいと願っている

そんな両親と魔理は今だにぶつかっているが、魔理としては将来を決めかねたままだった

卒業後どこかのＧＳ事務所で働きたいとは考えているが、業界にコネや知り合いの居ない魔理は成績や容姿も問題があり簡単に見つかるはずがない

結局たいした進展もないまま夏休みが終わっているが、これは仕方ないだろう

どうしても他者からは中途半端感が否めない彼女の評価は相変わらず低かった