嵐を呼ぶ再会

暑い夏が続く中、暦は変わり9月になっていた

そんな9月初旬のある日、魔法料理魔鈴に一枚のハガキが届く


「同窓会ですか…… 懐かしいですね」

ハガキは魔鈴の高校の同窓会の案内だった

実は魔鈴は数年前にも同窓会の案内が来ていたが、イギリスに居たために出席してなかったのである


「同窓会とは何でござるか?」

「同窓会とは、学校に通っていた時のクラスや学年の友人達が集まって会う事なんですよ」

見知らぬ同窓会に興味を抱くシロに説明しつつ、魔鈴は過去を思い出していく




「めぐみ、イギリスに行くって本当なの? 貴女ならGS試験も確実だって噂なのに、なんでわざわざイギリスの大学になんか留学するのよ」

「やっぱり私、GSには興味を持てないの。 それにヒーリング系の術しか使えないし……」

それは魔鈴が高校三年になった頃だった

神奈川県のとある県立高校に通っていた魔鈴は、友人である宮本綾に呼び止められる

当時すでに魔鈴の高い霊能力と技術は近隣の町で評判で、独学で習得したヒーリングの高い効果にわざわざ尋ねてくる人が居るほどの存在だった

現役GSも何度かスカウトに来た人が居るほど知られており、卒業後はGSになる事を確実視されていたほどである

そんな魔鈴がイギリスに留学してオカルトの勉強をしたいと言い出した時、教師や友人は驚き戸惑っていた


「本当にマイペースよね。 貴女の能力なら最前線じゃなくても億万長者だってみんな騒いでるのに、GSには全く興味を示さないんだから」

「お金はあんまり興味ないの。 それよりも私は知りたいの。 私に与えられた才能の意味を……」

幼い頃から家族もなく孤児院で育った魔鈴にとって、霊能は亡き家族との唯一の繋がりだった

両親を想うたびに魔鈴は受け継いだ才能の意味を考え、それの可能性を知りたいと願っていたのだ


「お金にも男にも興味を示さないめぐみの興味は霊能力だけだもんね。 隣のクラスのサッカー部のエースを振ったんだって? 今年に入って何人目よ。 全く……、貴女の彼氏になる男がどんな男か見てみたいわ」

「私にも恋愛に憧れる気持ちはあるわよ。 ただ付き合いたいって思える人は居ないの」

「卒業までに貴女の彼氏見れるかしらね~? ダメなら同窓会か。 好きな人が出来たら絶対に紹介しなさいよ!!」

「もう~、そんな先の話なんかわからないわよ」

そんな高校時代の何気ない会話を思い出した魔鈴は、マイペースな自分の気持ちを理解してくれていた友人を思い出し懐かしい気持ちになる


(そういえば、綾はニューヨーク勤務のはずよね。 一度連絡してみようかしら)

高校卒業後、魔鈴はイギリスの大学に進み綾は日本の大学に進学した

そして魔鈴が帰国する少し前に綾は仕事の都合でニューヨーク勤務になっていたため、なかなか会う機会がなかったのだ


(綾は横島さんの良さをわかってくれるかしら?)

綾と横島を会わせた時をふと想像した魔鈴は、思わず笑ってしまいそうになる

どうしてもその時の展開が読めないのだ

横島は何か仕出かしそうだし、綾もまた何か予想も出来ないことを言いそうな気がしたのである


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