過去と現在が交差する時
「すぐには無理だわ。 今オカルトGメンを辞めれば、必ずあの戦いを蒸し返そうとする連中が居るもの」
公彦の提案は美智恵にとって魅力的なものだった
家族の絆を取り戻しひのめの未来を考えるならば、公彦の提案は最善かもしれない
しかし美智恵は現状では引退するなど不可能だった
アシュタロス戦時の強権発動やその後の真実の隠匿などで、多大な無理を通した美智恵には当然敵が多い
今美智恵が引退などすればあの戦いの真実を持ち出して、美智恵と令子を潰そうとする輩が必ず出るはずである
それは美智恵や令子だけに留まらず美智恵の味方や協力者達を巻き込んで、大きな混乱になることは目に見えていた
下手をすれば二人の娘が住む場所が世界の何処にも無くなるなんて事態すら有り得るのだ
世界や日本のオカルト情勢が落ち着くまで、美智恵は引退などしたくても出来ない事情があった
「そうか……」
理由はそれぞれだが二人共に拒否された公彦だったが、特に感情を見せることなく話を終えてしまう
この機会が美神家にとって数少ない絆を取り戻すチャンスなのは三人共に理解しているが、美神家が絆を取り戻すにはあまりに問題が多過ぎたのである
結局美神家は何一つ変わることがないまま、公彦はお盆の終わりと共に海外へ旅立っていく
その頃里帰りしていたおキヌは、横島と初めて出会った場所に一人で来ていた
そこは普通のがけの道路だったが、おキヌにとっては特別な場所である
「よく考えたら私、酷いことしたなぁ…… 横島さんあの後何にも言わなかったけど、普通だと怒るんだろうな」
初めて出会った時横島を殺そうとした事実を思い出したおキヌは、あの後横島がそのことを怒ったり責めたりしなかったことを少し不思議に感じていた
笑って済ませられる話ではないのは今のおキヌなら理解出来るが、横島は笑って済ませたのだ
「私が一番最初に横島さんの良さに気付いていたのに……」
未練や後悔は考えれば尽きないが、おキヌは横島の良さを令子よりも先に気付いていた事実を思うと言葉にならない感情が込み上げてくる
頑張ろうと決めていつか横島に会いに行きたいと無我夢中で頑張ってるおキヌだが、ふと気を抜くと後悔が込み上げてくるのだ
(きっと横島さんはルシオラさんを失った心の傷を隠してたのね)
相変わらず一進一退の状況だが、おキヌは過去や横島の事を一つ一つ考えている
何故こんな状況になったのか今でも理解出来ないおキヌだったが、一つだけ確信しているのは横島はルシオラの事を乗り越えてなかったこと
(なんでこんな簡単なこと気付けなかったんだろ。 あの横島さんがあんなにあっさりと忘れるはずなんてないのに……)
過ぎてみれば当然の事実も当時としては気付けぬままだったのだ
そもそもおキヌが絶対的だと感じていた絆は、とても脆くはかないものだった
その現実がおキヌを今も悩ませる原因である
どこで間違ったのか、おキヌは考えを巡らせていくが他人の思考など分かるはずもなく……
ただただ今を精一杯生きることが、横島に再び近付く道だと信じるしかなかった
公彦の提案は美智恵にとって魅力的なものだった
家族の絆を取り戻しひのめの未来を考えるならば、公彦の提案は最善かもしれない
しかし美智恵は現状では引退するなど不可能だった
アシュタロス戦時の強権発動やその後の真実の隠匿などで、多大な無理を通した美智恵には当然敵が多い
今美智恵が引退などすればあの戦いの真実を持ち出して、美智恵と令子を潰そうとする輩が必ず出るはずである
それは美智恵や令子だけに留まらず美智恵の味方や協力者達を巻き込んで、大きな混乱になることは目に見えていた
下手をすれば二人の娘が住む場所が世界の何処にも無くなるなんて事態すら有り得るのだ
世界や日本のオカルト情勢が落ち着くまで、美智恵は引退などしたくても出来ない事情があった
「そうか……」
理由はそれぞれだが二人共に拒否された公彦だったが、特に感情を見せることなく話を終えてしまう
この機会が美神家にとって数少ない絆を取り戻すチャンスなのは三人共に理解しているが、美神家が絆を取り戻すにはあまりに問題が多過ぎたのである
結局美神家は何一つ変わることがないまま、公彦はお盆の終わりと共に海外へ旅立っていく
その頃里帰りしていたおキヌは、横島と初めて出会った場所に一人で来ていた
そこは普通のがけの道路だったが、おキヌにとっては特別な場所である
「よく考えたら私、酷いことしたなぁ…… 横島さんあの後何にも言わなかったけど、普通だと怒るんだろうな」
初めて出会った時横島を殺そうとした事実を思い出したおキヌは、あの後横島がそのことを怒ったり責めたりしなかったことを少し不思議に感じていた
笑って済ませられる話ではないのは今のおキヌなら理解出来るが、横島は笑って済ませたのだ
「私が一番最初に横島さんの良さに気付いていたのに……」
未練や後悔は考えれば尽きないが、おキヌは横島の良さを令子よりも先に気付いていた事実を思うと言葉にならない感情が込み上げてくる
頑張ろうと決めていつか横島に会いに行きたいと無我夢中で頑張ってるおキヌだが、ふと気を抜くと後悔が込み上げてくるのだ
(きっと横島さんはルシオラさんを失った心の傷を隠してたのね)
相変わらず一進一退の状況だが、おキヌは過去や横島の事を一つ一つ考えている
何故こんな状況になったのか今でも理解出来ないおキヌだったが、一つだけ確信しているのは横島はルシオラの事を乗り越えてなかったこと
(なんでこんな簡単なこと気付けなかったんだろ。 あの横島さんがあんなにあっさりと忘れるはずなんてないのに……)
過ぎてみれば当然の事実も当時としては気付けぬままだったのだ
そもそもおキヌが絶対的だと感じていた絆は、とても脆くはかないものだった
その現実がおキヌを今も悩ませる原因である
どこで間違ったのか、おキヌは考えを巡らせていくが他人の思考など分かるはずもなく……
ただただ今を精一杯生きることが、横島に再び近付く道だと信じるしかなかった