過去と現在が交差する時

一方お盆休み期間のオカルトGメンだが、こちらは美智恵が連休を取ってる分だけ西条が連日出勤している

GS業界はお盆に休む方が珍しいとはいえ、大小様々な相談が舞い込むオカルトGメンはやはり忙しい日々だった

まあ実際にはオカルトGメンが出動する事件はほとんどなく複数居る事務員がGS協会を紹介するのが主な仕事だが、中には政治家や警察などの紹介状などを持参するケースも少なくない

西条はオカルトGメンに舞い込む依頼の仕分けを行いつつ、そう言った訳ありの依頼の対応をする日々である


「申し訳ありませんが、この依頼ではオカルトGメンは出動出来ません。 公共性と緊急性が低い依頼は民間GSの活用をお願いしております」

「オカルトGメンは困ってる一般市民を見殺しにするんですか!? 我社はGSに依頼する資金がないのです。 倒産しろというのですか!!」

今西条が対応しているのは、関西に本社を構える中堅企業の常務の肩書を持つ男だった

とある国会議員の一筆入りの名刺を持参したので西条が対応していたが、依頼は工場に集まる悪霊を除霊して欲しいとのことである

しかしこの依頼は公共性もなければ緊急性もないため、受ける事など不可能だった


(全く、何故オカルトGメンが三流政治家の尻拭いなどを……)

政治家の名刺をちらつかせなんとか依頼を受けさせようとする男だったが、実はその政治家の事務所とは断る事で話が纏まっている

長年支援してくれた会社なだけに政治家が断れずに一筆入りの名刺を渡したのだが、オカルトGメンで無理ならば断ってくれて構わないとのことなのだ

元々政治家の方にはICPO管轄のオカルトGメンと揉め事を起こす気などはさらさらなく、自分が断れない為に後は勝手にしてくれとの話なのだった


「残念ながら貴社の依頼は生命の危機も公共性の危機も低いのです。 GS協会では支払いに関する各種相談も受け付けてますので、そちらでご相談をお願いします」

結局男との交渉は二時間にも及んでいた

男はオカルトGメンの職務怠慢を訴えてやると激怒して帰ったが、これもよくある事である

これは政治家の事務所からの情報だが、今の男の会社はケチで有名らしい

除霊料金をケチった行動だろうとの話なのだが、オカルトGメンの方針に文句を付けるのは今のように本当に困った人でない場合が多かった



「オカルトGメンのPRは順調に進んでるはずなんだがね。 何故無料で除霊してくれる便利屋扱いするんだろう」

オカルトGメンの業務を勘違いする人が多い現状に、西条は思わずため息をはいてしまう

高額で敷居の高い民間GSに行きにくいのは理解してるが、オカルトGメンを何でも解決する便利屋扱いする現状には疲れを感じてしまうようだ

しかし西条にゆっくり休む時間などなく、その後もオカルトGメンの様々な職務が次々に舞い込む事になる

西条のお盆休みは当分先のようだった



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