過去と現在が交差する時
「先日横島君達に旅行に誘われてね。 小竜姫様も来ると言うので万が一を考えて行ったが、私も普通に楽しんでしまった。 彼らと一緒に居ると、私は自分の時代が終わった事をシミジミ感じさせられるよ」
旅行の写真を見たまま固まっている美智恵に、唐巣は先日の旅行の話を語り始めた
当初唐巣は小竜姫達や天竜童子に何かあれば困る事から用心のために参加したのだが、結局普通に楽しんで終わっていたのだ
何の問題もなく旅行が終わった事に安堵した唐巣だったが、終わってからよく考えてみると普通に旅行を楽しむなど本当に久しぶりだったのである
修行や除霊で旅行に行った事は多いが、目的もなく旅行を楽しむなど考えもしない人生だったのだから当然だが……
「彼が気になるかね?」
「もう終わったことです」
横島達の写真をずっと見つめていた美智恵に唐巣は複雑そうな表情で尋ねるが、無表情で答える美智恵の答えに唐巣は落胆してしまう
(君はやはり私ですら信じてくれないのだね)
美智恵が横島に複雑な感情を抱えてるのは唐巣は百も承知だった
しかし古い付き合いの自分にすら本音を語らない美智恵に、唐巣は寂しさを感じている
過去の事だと割り切るのは必要かもしれないが、時には本音を語り感情をむきだしにする事も必要ではと唐巣は思うのだ
(君は優秀過ぎたのかもしれないな。 誰にも頼らず一人で生き抜いて来たその強さが、今の君を苦しめている)
霊能者としても人としても優秀な美智恵だったが、それが逆に美智恵を孤立させて苦しめてる現状に唐巣はかける言葉が浮かばない
「もう少し肩の力を抜いた方がいい。 世の中は多くの人の調和によって成り立っている。 君は一人で頑張り過ぎてると思うのだよ」
「あら、それは神父も同じでなくて? 私は少なくとも自分を大切にしてます」
美智恵の事を心配すればこそ苦言を呈する唐巣に対して、美智恵はにこやかな笑みと共にかわしてしまう
やはり美智恵には、人に弱みを見せたり頼ったりするのは出来ないようだった
それがプライドなのか信念なのかは分からないが、今の美智恵が唐巣には哀れに思えて仕方ない
(己のみを信じて生きる美智恵君と、周りを信じて頼り生きる横島君か……。 まるで水と油だな)
唐巣に対して共に限界を感じさせた美智恵と横島だが、その生き方は真逆と言っていいほど正反対だった
自分の才能と能力を限界まで知り使い熟す美智恵は、個としては誰よりも優秀だが全体として見ると孤独に見える
一方個としては未熟で問題を抱える横島は、未熟だからこそ周りに頼り周りと共に生きているのだ
現に横島の周りには横島を守りフォローする人が複数いるが、美智恵にはそれが居ない
どちらかが正しくどちらかが間違いだとは言えないが、幸せそうな横島とその周りをよく知る唐巣としては、美智恵がもう少し周りを信じて頼る事をすればもっといい方に向かうだろうと考えずにはいられなかった
孤立気味のオカルトGメンも、どこかそんな美智恵の行動がアダとなっているのは明らかなのだから
(歴史はこの対極な二人をどう評価するのだろうか……)
いつの日か全てが明らかになった時、美智恵と横島を歴史はどう評価するのか
そう考えた唐巣はどうしようもないところまで来てしまった美智恵と横島の関係に寂しさを感じずにはいられなかった
旅行の写真を見たまま固まっている美智恵に、唐巣は先日の旅行の話を語り始めた
当初唐巣は小竜姫達や天竜童子に何かあれば困る事から用心のために参加したのだが、結局普通に楽しんで終わっていたのだ
何の問題もなく旅行が終わった事に安堵した唐巣だったが、終わってからよく考えてみると普通に旅行を楽しむなど本当に久しぶりだったのである
修行や除霊で旅行に行った事は多いが、目的もなく旅行を楽しむなど考えもしない人生だったのだから当然だが……
「彼が気になるかね?」
「もう終わったことです」
横島達の写真をずっと見つめていた美智恵に唐巣は複雑そうな表情で尋ねるが、無表情で答える美智恵の答えに唐巣は落胆してしまう
(君はやはり私ですら信じてくれないのだね)
美智恵が横島に複雑な感情を抱えてるのは唐巣は百も承知だった
しかし古い付き合いの自分にすら本音を語らない美智恵に、唐巣は寂しさを感じている
過去の事だと割り切るのは必要かもしれないが、時には本音を語り感情をむきだしにする事も必要ではと唐巣は思うのだ
(君は優秀過ぎたのかもしれないな。 誰にも頼らず一人で生き抜いて来たその強さが、今の君を苦しめている)
霊能者としても人としても優秀な美智恵だったが、それが逆に美智恵を孤立させて苦しめてる現状に唐巣はかける言葉が浮かばない
「もう少し肩の力を抜いた方がいい。 世の中は多くの人の調和によって成り立っている。 君は一人で頑張り過ぎてると思うのだよ」
「あら、それは神父も同じでなくて? 私は少なくとも自分を大切にしてます」
美智恵の事を心配すればこそ苦言を呈する唐巣に対して、美智恵はにこやかな笑みと共にかわしてしまう
やはり美智恵には、人に弱みを見せたり頼ったりするのは出来ないようだった
それがプライドなのか信念なのかは分からないが、今の美智恵が唐巣には哀れに思えて仕方ない
(己のみを信じて生きる美智恵君と、周りを信じて頼り生きる横島君か……。 まるで水と油だな)
唐巣に対して共に限界を感じさせた美智恵と横島だが、その生き方は真逆と言っていいほど正反対だった
自分の才能と能力を限界まで知り使い熟す美智恵は、個としては誰よりも優秀だが全体として見ると孤独に見える
一方個としては未熟で問題を抱える横島は、未熟だからこそ周りに頼り周りと共に生きているのだ
現に横島の周りには横島を守りフォローする人が複数いるが、美智恵にはそれが居ない
どちらかが正しくどちらかが間違いだとは言えないが、幸せそうな横島とその周りをよく知る唐巣としては、美智恵がもう少し周りを信じて頼る事をすればもっといい方に向かうだろうと考えずにはいられなかった
孤立気味のオカルトGメンも、どこかそんな美智恵の行動がアダとなっているのは明らかなのだから
(歴史はこの対極な二人をどう評価するのだろうか……)
いつの日か全てが明らかになった時、美智恵と横島を歴史はどう評価するのか
そう考えた唐巣はどうしようもないところまで来てしまった美智恵と横島の関係に寂しさを感じずにはいられなかった