それぞれの想い

日が暮れる頃、魔鈴の店には横島が誘った人達が続々と集まっていた


「今日は誘ってくれてありがとう」

「魔鈴さんお久しぶりです」

雪之丞の次に来たのは唐巣とピートである


「まさか横島に誘われるとは思わなかったワケ。 一応卒業祝いあげるわ」

「魔鈴さんお久しぶりですケン」

エミは卒業祝いにとシャンパンの差し入れを持って、タイガーと共にやって来た


「あなたが噂の魔鈴さんね~ 私は机の妖怪の愛子。 よろしく」

一人で来た愛子は、魔鈴を興味深そうに見つめて笑顔を見せる


「横島君~ 今日は誘ってくれてありがとう~」

「横島さん、卒業おめでとうございます」

「あんさんが卒業出来るとはな~」


相変わらずニコニコとした冥子に続き小鳩と貧が現れ、店内は賑やかになっていく


「横っち、卒業おめでとう! 俺も今日だけはなんとか休みが取れたわ」

やって来たのはサングラスをした銀一である

「銀ちゃんも卒業おめでとう!」

横島と銀一は互いに卒業を祝うが、賑やかだった店内は微妙な空気になっていた
 
 
「ねえ、あの人だれ? どっかで見た気がする…」

「冥子わかんない~」

エミは美形の銀一を見て即座に反応するが、冥子はわからないようだ


「あれ…、あの人の顔どっかで…?」

小鳩と話していた愛子は、銀一の顔を見て誰だったか思い出そうとする


「あの人、近畿剛一だ…」

ぽつりとつぶやいた小鳩の言葉が店内の全ての人に聞こえていく


「えっ!?」

信じられないような視線が集中する中、銀一はサングラスを外した


「初めまして、俳優の近畿剛一です。 横っちとは小学生の時の友達やったんです」

イヤミやおごりの無い自然な表情で挨拶する銀一に、女性陣は見惚れてしまう



「近畿君、私は小笠原エミよ。 よろしく~」

真っ先に銀一にアピールしたのはエミだった

美形を見つけた時のスピードは昔の横島並である


「あの! 私、愛子っていいます。 握手してください」

エミに続き愛子や小鳩が集まるが、銀一の人気を考えれば当然だろう



「小僧、来てやったぞ」

「横島さん・マリアお土産・作りました」
 
銀一の周りが女性陣で賑やかな頃、ドクターカオスとマリアがやって来た


「おう、マリアありがとうな」

横島がマリアからお土産のケーキを受け取ると、マリアは気持ち嬉しそうに見える



「よこしまー!」

元気いっぱいに店内に駆け込んで来たのは、パピリオとヒャクメと小竜姫であった

「お久しぶりなのね~」

「横島さん、これつまらないものですが…。 それと、例の件は上手く行きました。 彼女達も、そろそろ来る頃だと思います」

「小竜姫様、ありがとうございます。 どうしてもあいつに会いたかったんで…」

久しぶりに会っても変わらないヒャクメとお土産を持った小竜姫に、横島はホッとしたようにお礼を言う


「いえ、私はあちらに連絡しただけですから、あちらの根回しはワルキューレがしてくれたようです」

そんな小竜姫達が来ると、店内はかなり賑やかになっていた

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