それぞれの想い
その頃、美神事務所の一室ではおキヌが手紙を見つめ悩んでいた
手紙の差出人は横島である
GSのバイト時代に世話になった人達にお礼をするので、よかったら来て欲しいと書いていた
「美神さんは誘われて無いんだろうな…」
今日届いた手紙を見つめ、おキヌは帰宅後ずっと悩んでいる
思い出すのはあの日の横島の姿と表情
タマモやシロに見せた信頼の表情、そして魔鈴にだけ向けられた親愛の笑み
あの日を思い出すたび、おキヌの心は引き裂かれるような痛みを感じてしまう
(横島さん… あなたにとって私はどんな存在なのですか?)
突然辞めてしまった横島
相談も何も無かったし、おキヌは辞めた理由すら知らない
あの後優しい令子ですら、横島の辞めた理由などは教えてくれないのだ
そんな横島から送られて来たこの手紙に、おキヌは混乱していた
「行ける訳無いですよ…」
ぽつりとつぶやく言葉は、微かに震えているようにも聞こえる
同じ横島を失った苦しみを抱える令子を置いて、一人で行くのはおキヌには出来ない
それに…
(私はあなたと魔鈴さんの幸せそうな姿を見て、笑顔でお祝いする自信無いです)
手紙を見ただけでもあの日の光景が蘇り、胸の苦しみが収まらない
そんなおキヌが実際に横島と魔鈴の幸せそうな姿を見て、笑えることなど不可能であった
結局おキヌは手紙を引き出しにしまい込み、夕食の準備に向かう
一方おキヌが自室に篭ってる時、事務所の応接室では西条が訪れていた
「いや~ 凄い卒業式だったね」
ニコニコと笑顔の西条は、令子とたわいもない話をしている
そんな西条が事務所を訪れるのは、最近はよくある光景であった
「ええ、そうね」
令子も笑顔で答えるが、返事は上の空のようで元気が無い
これも最近よくあることで、西条や美智恵などには昔と同じように接している令子だが、やはりらしくない様子である
「令子ちゃん、今日時間があれば夕食でも一緒にどうだい?」
「せっかくだけど、私が外食すればおキヌちゃん一人になっちゃうから…」
令子の表情を伺うように食事に誘う西条だが、令子はすぐに断ってしまう
今の令子の頭の中には西条が恋人だと言う感覚は無い
そもそも恋人と言う意味もあまり理解してないまま、西条の告白を受け入れてしまったのだから仕方ないが
「そうか… ならおキヌちゃんと三人で食事に行こうか? 彼女も気分転換が必要だと思うよ」
令子の気持ちを少しは察した西条は、今度はおキヌ交えて食事に誘う
一見心配していい人のような言動だが、その裏には明らかに令子に近付こうとする下心がある
「そうね… それならいいかもね。 たまにはおキヌちゃんを休ませたいし」
少し悩む令子だが、西条の提案を受け入れてしまう
普通の状態の令子なら、西条の思惑など軽く見抜くはずなのだが…
今の令子にそこまでの余裕が無い
それに令子は、無意識ながらも失った支えの代わりを求めていた
元々初恋の相手であり、兄のような存在の西条
父親からの愛情を理解してなかった令子が、初めて男性からの愛情を感じた相手
そんな西条に無意識に少し頼ってしまうのは仕方のないことだろう
手紙の差出人は横島である
GSのバイト時代に世話になった人達にお礼をするので、よかったら来て欲しいと書いていた
「美神さんは誘われて無いんだろうな…」
今日届いた手紙を見つめ、おキヌは帰宅後ずっと悩んでいる
思い出すのはあの日の横島の姿と表情
タマモやシロに見せた信頼の表情、そして魔鈴にだけ向けられた親愛の笑み
あの日を思い出すたび、おキヌの心は引き裂かれるような痛みを感じてしまう
(横島さん… あなたにとって私はどんな存在なのですか?)
突然辞めてしまった横島
相談も何も無かったし、おキヌは辞めた理由すら知らない
あの後優しい令子ですら、横島の辞めた理由などは教えてくれないのだ
そんな横島から送られて来たこの手紙に、おキヌは混乱していた
「行ける訳無いですよ…」
ぽつりとつぶやく言葉は、微かに震えているようにも聞こえる
同じ横島を失った苦しみを抱える令子を置いて、一人で行くのはおキヌには出来ない
それに…
(私はあなたと魔鈴さんの幸せそうな姿を見て、笑顔でお祝いする自信無いです)
手紙を見ただけでもあの日の光景が蘇り、胸の苦しみが収まらない
そんなおキヌが実際に横島と魔鈴の幸せそうな姿を見て、笑えることなど不可能であった
結局おキヌは手紙を引き出しにしまい込み、夕食の準備に向かう
一方おキヌが自室に篭ってる時、事務所の応接室では西条が訪れていた
「いや~ 凄い卒業式だったね」
ニコニコと笑顔の西条は、令子とたわいもない話をしている
そんな西条が事務所を訪れるのは、最近はよくある光景であった
「ええ、そうね」
令子も笑顔で答えるが、返事は上の空のようで元気が無い
これも最近よくあることで、西条や美智恵などには昔と同じように接している令子だが、やはりらしくない様子である
「令子ちゃん、今日時間があれば夕食でも一緒にどうだい?」
「せっかくだけど、私が外食すればおキヌちゃん一人になっちゃうから…」
令子の表情を伺うように食事に誘う西条だが、令子はすぐに断ってしまう
今の令子の頭の中には西条が恋人だと言う感覚は無い
そもそも恋人と言う意味もあまり理解してないまま、西条の告白を受け入れてしまったのだから仕方ないが
「そうか… ならおキヌちゃんと三人で食事に行こうか? 彼女も気分転換が必要だと思うよ」
令子の気持ちを少しは察した西条は、今度はおキヌ交えて食事に誘う
一見心配していい人のような言動だが、その裏には明らかに令子に近付こうとする下心がある
「そうね… それならいいかもね。 たまにはおキヌちゃんを休ませたいし」
少し悩む令子だが、西条の提案を受け入れてしまう
普通の状態の令子なら、西条の思惑など軽く見抜くはずなのだが…
今の令子にそこまでの余裕が無い
それに令子は、無意識ながらも失った支えの代わりを求めていた
元々初恋の相手であり、兄のような存在の西条
父親からの愛情を理解してなかった令子が、初めて男性からの愛情を感じた相手
そんな西条に無意識に少し頼ってしまうのは仕方のないことだろう