そのまま賑やかにバーベキューは続いていく

よくあるバーベキューと変わらない風景だが、味付けや食材には魔鈴らしい工夫もあり一味違う料理になっている

バーベキューの他にはダッチオーブンを利用したブイヤベースもあり、暑い最中ながらこちらも絶品で人気だった

加えて酒類に関してはビールからワインにブランデーなど、多くの種類が用意されている

別荘には古い冷蔵庫があったがあまり大きくないため、酒類やジュースはタライに氷水で冷やされるほどの量があった

今回の旅行では酒類はかなりの費用になっており、質・種類・量共に神魔組が満足する物を揃えているのだ

老師やワルキューレを初め神魔組の者達は総じて酒を好むが、魔鈴としては当然安酒を出す訳にもいかない

まあ最高級品ではないが、魔鈴が店に出すレベルの酒は当然揃えている


「魔鈴さんって凄いですね」

「ただ者じゃない事は確かよねー」

次々に出来上がる料理の数々に加え細かな気配りが行き渡る現状に、小鳩と愛子は魔鈴の手際のよさをシミジミ感じていた

人数が多いにも関わらず、料理が無くなった頃には違う料理が出来上がっているのだから驚きである

加えて各人の好みや量もきちんと考えられていた


今回の旅行は元々横島が主導してるのだが、その影で横島の計画を支え気配りしてる魔鈴の凄さに二人は驚きを隠せない

小鳩も愛子も横島の良さはきちんと理解しているが、その半面で行動が不器用で誤解されやすい事も理解している

横島の考えと行動が失敗しないように支え気配りする魔鈴やタマモやシロの存在が、いかに大きいか二人は実感してしまう


「こんばんわ　皆さんお久しぶりです」

西の空がオレンジに染まる頃、高級外車が別荘に到着していた

やって来たのは銀一で、仕事の都合でこの時間に合流したようである


「銀ちゃん、早かったな～　一杯やってゆっくりしてくれよ」

サングラスを外し一息つく銀一は、エミに呼ばれ同じテーブルに着く

横島がすぐに酒と料理をいくつか渡すと、銀一はエミに急かされるように近況などを話していった



「とても興味深い料理ですね。　今度教えて頂けませんか？」

一方料理をしている魔鈴のところでは、小竜姫が興味深げに料理をする姿を見ていた

元々妙神山で一人で居る事が多かった小竜姫は、料理は趣味であり数少ない楽しみでもある

しかしなかなか人界と交流しない小竜姫は、新しい料理や外国の料理はほとんど知らないのだ

まあそれでも最近は横島が本の差し入れなどを小竜姫にしているので、料理の本もいくつか持っている

そんな本で見た料理を小竜姫は魔鈴に教わりつつ作ったりしていたのだ

横島と共に妙神山を訪れる事が多い魔鈴は、小竜姫に料理を教えたりしながら友人と呼べるような交流をしている

魔鈴にとっても小竜姫はよき相談相手であり、妙神山で横島がパピリオや老師と遊んでる時は大抵二人で料理をしたり話をしていたりしていたのだ


「ええ、今度作り方をお教えしますね。　これはいろいろアレンジしやすいので覚えて損はないですよ」

興味深げな小竜姫に魔鈴は料理の簡単なポイントやアレンジの一例を教え、今度本格的に教える事を約束する

そんな二人のところには小鳩も来て、自分も教えて欲しいといい簡単な料理教室になっていた