サマーバケーション~2~
そして昼時になった頃、バスは比較的賑やかな漁港に差し掛かっていた
「昼は海の幸にしようと思うのですが、ダメな方は居ますか?」
この日横島と魔鈴は、昼ご飯に行く店として海の幸と蕎麦の二種類の店のどちらかを予定している
人数が多いだけにそれぞれに食べられない物などを事前に聞く訳にいかずに、複数の店を調べていたようだ
取り纏めというか場を仕切っていたのは魔鈴である
時間を見て飲み物を配ったりそれぞれに気を配っているのは商売柄得意なのだろうが、本来仕切るべき横島が表立って仕切るのを好まないのも理由だった
無論魔鈴に丸投げではないが、横島ではどうしても細かい気配りが足りないのも事実である
元々率先してリーダーシップを取りたがるタイプではないし、何よりどちらかと言えば三枚目に徹して他者を楽しませようとするのだ
結果的に魔鈴が周りとの調整などを仕切るのは当然かもしれない
そんな一行が訪れたのは漁港の市場に近い場所にある普通の食堂だった
ここは漁師が経営する食堂で、安くて新鮮な魚介類が食べられる店である
ここも横島と魔鈴が一度下見に来ており、新鮮かつ繊細な料理を魔鈴が気に入った店なのだ
新鮮で豪快な店は比較的よくあるが新鮮で繊細な店は意外と少なく、鮮魚の臭みなどを全く感じさせないほど繊細な店だった
「美味しい」
それほど広くない店内は横島達で半分が埋まっている
それぞれのテーブルには大皿の刺身の盛り合わせや焼き魚や煮魚が並んでおり、海鮮丼含めるとかなりの量になっていた
老師やワルキューレは冷酒を頼んで早くも酒盛りを始めているし、食欲旺盛な雪之丞やカオスなどはいつものように貪るように料理を食べていく
「エミさん最近忙しいって言ってましたが、よく三日も休み取れましたね」
「私は無理に仕事をする気はないワケ。 それに最近忙しかったからゆっくり休みが欲しかったのよ」
今年の夏に入ってエミは例年にない忙しさだった
その理由は魔鈴にあり、断っていた依頼の何割かがエミに流れていたのである
現在基本的には新規の依頼は断っている魔鈴だが、それでもどうしてもと頼む依頼のうち高額でもしっかり除霊して欲しいという依頼はエミを紹介していたのだ
その結果エミは例年よりも忙しい状況だった
魔鈴としては同業者で信頼出来る人があまり居ない事もありエミか唐巣に頼むしかないのだが、唐巣は元々忙しいのに加えてGS協会の役員の仕事もあるため、結果としてエミに頼るしかなかったのである
「ピートも自分の力を過信しちゃダメよ」
忙しい時期にもかかわらずしっかり休みを取ったエミにピートは感心するが、エミはここぞとばかりに甘えた口調でピートに引っ付く
言ってる事は正しいし勉強になるのだが、迫られるのには困ったように笑うしか出来ない
「横島君達も働き過ぎだからちょうどいい休みよね」
エミの言葉を聞いていた愛子は同意するようにボソッとつぶやく
店に除霊に勉強にと横島達の日常が忙し過ぎるのを知る愛子は、いつか横島や魔鈴が倒れるのではと心配しているだけに二人にはもう少し余裕を持って欲しいと願わずにはいられなかった
「昼は海の幸にしようと思うのですが、ダメな方は居ますか?」
この日横島と魔鈴は、昼ご飯に行く店として海の幸と蕎麦の二種類の店のどちらかを予定している
人数が多いだけにそれぞれに食べられない物などを事前に聞く訳にいかずに、複数の店を調べていたようだ
取り纏めというか場を仕切っていたのは魔鈴である
時間を見て飲み物を配ったりそれぞれに気を配っているのは商売柄得意なのだろうが、本来仕切るべき横島が表立って仕切るのを好まないのも理由だった
無論魔鈴に丸投げではないが、横島ではどうしても細かい気配りが足りないのも事実である
元々率先してリーダーシップを取りたがるタイプではないし、何よりどちらかと言えば三枚目に徹して他者を楽しませようとするのだ
結果的に魔鈴が周りとの調整などを仕切るのは当然かもしれない
そんな一行が訪れたのは漁港の市場に近い場所にある普通の食堂だった
ここは漁師が経営する食堂で、安くて新鮮な魚介類が食べられる店である
ここも横島と魔鈴が一度下見に来ており、新鮮かつ繊細な料理を魔鈴が気に入った店なのだ
新鮮で豪快な店は比較的よくあるが新鮮で繊細な店は意外と少なく、鮮魚の臭みなどを全く感じさせないほど繊細な店だった
「美味しい」
それほど広くない店内は横島達で半分が埋まっている
それぞれのテーブルには大皿の刺身の盛り合わせや焼き魚や煮魚が並んでおり、海鮮丼含めるとかなりの量になっていた
老師やワルキューレは冷酒を頼んで早くも酒盛りを始めているし、食欲旺盛な雪之丞やカオスなどはいつものように貪るように料理を食べていく
「エミさん最近忙しいって言ってましたが、よく三日も休み取れましたね」
「私は無理に仕事をする気はないワケ。 それに最近忙しかったからゆっくり休みが欲しかったのよ」
今年の夏に入ってエミは例年にない忙しさだった
その理由は魔鈴にあり、断っていた依頼の何割かがエミに流れていたのである
現在基本的には新規の依頼は断っている魔鈴だが、それでもどうしてもと頼む依頼のうち高額でもしっかり除霊して欲しいという依頼はエミを紹介していたのだ
その結果エミは例年よりも忙しい状況だった
魔鈴としては同業者で信頼出来る人があまり居ない事もありエミか唐巣に頼むしかないのだが、唐巣は元々忙しいのに加えてGS協会の役員の仕事もあるため、結果としてエミに頼るしかなかったのである
「ピートも自分の力を過信しちゃダメよ」
忙しい時期にもかかわらずしっかり休みを取ったエミにピートは感心するが、エミはここぞとばかりに甘えた口調でピートに引っ付く
言ってる事は正しいし勉強になるのだが、迫られるのには困ったように笑うしか出来ない
「横島君達も働き過ぎだからちょうどいい休みよね」
エミの言葉を聞いていた愛子は同意するようにボソッとつぶやく
店に除霊に勉強にと横島達の日常が忙し過ぎるのを知る愛子は、いつか横島や魔鈴が倒れるのではと心配しているだけに二人にはもう少し余裕を持って欲しいと願わずにはいられなかった