サマーバケーション~2~
同じ日、美智恵はオカルトGメンの自室で複雑そうな表情で書類を見つめていた
(横島君は何を考えてるのかしらね)
事の始まりは一週間ほど前で横島達が旅行の準備を終えていた頃、美智恵の元にも六道家から横島達の旅行の話が伝わっていたのだ
どうも冥子が横島達から神界の偉い人が来ると中途半端な情報を冥菜に持ち帰り、唐巣に確認したところ横島達の旅行の参加メンバーが明らかになったようである
冥菜はGS協会の親しい幹部とオカルトGメンにある程度の情報を流し、万が一横島絡みの神魔や妖怪に会っても問題を起こさないように通達を出していたのだ
問題が起きる可能性は低いが万が一何か起きた時には、密かに円満に解決するようにも通達を出している
(問題が起きたらどうするつもりなのかしら?)
計画を主導しただろう横島を思い出し、美智恵は呆れたようにため息をはく
天龍童子と斉天大聖がお忍びとはいえ人界に来るなど、数百年に一度の出来事と言える
人界の竜族は必ずしも神界に従う者ばかりでないし、斉天大聖クラスの神族が人界に来るとそれだけで何が起きるかは想像も出来ない
横島が何を考えてわざわざそんな危険な事をしてるのか、美智恵には全くわからない
前回天龍童子が人界に来た時にメドーサに襲われたのを、忘れたのだろうかと美智恵は頭を悩ませる
(まあ、私には関係ないか)
冥菜からは間違っても近寄ったり関わるなと強く念を押されてる美智恵としては、情報として頭に入れておくしか出来なかった
一方横島達は貸し切りバスで魔鈴の店を出発していた
移動手段に関しては電車も考慮したが、大人数になる事や人界に慣れてない天龍童子の存在を考慮してバスにしている
都内を軽く周り景色を見物していくが、一番喜んでいるのはパピリオと天龍童子と斉天大聖老師だった
「老師様、随分ご機嫌ですね……」
「老師様は立場上滅多に妙神山を離れられませんからね、人界に降りるのを随分楽しみにしていたようなのです」
いつもに増して機嫌よく景色を眺める老師の姿に、魔鈴は少し不思議そうに小竜姫に事情を尋ねるが、どうやら老師もかなり楽しみにしていたらしいと告げるだけである
たまに神族はつまらないとか自由になりたいとか愚痴ってるのだが、流石に小竜姫もそれは言えなかった
「ベスパちゃん元気にしてまちたか? パピはもう大人も同然でちゅ」
「二週間前に会った時とあんまり変わってない気がするけど……」
「あの時と今とじゃ、全然違うでちゅよ!」
一方パピリオとベスパは隣に座り楽しげに会話している
春の卒業パーティー以来、ベスパも暇を見つけては妙神山を訪れてるらしい
最も横島より回数が少ないのがパピリオは不満らしくベスパを困らせてはいるが、それでも定期的に会える環境がパピリオは本当に嬉しいようだった
「シロとタマモを越えるのはもうすぐでちゅね」
ニヤニヤと嬉しそうに自分の成長を実感するパピリオだが、二人も同じように成長するという事実は忘れてるらしい
パピリオの計画では数年でシロとタマモを追い越す予定だった
一方ベスパは会う度に変わりゆくパピリオを、嬉しそうに見つめていた
成長して未来がある幸せ
それは二人にしかわからないものがあるのだろう
(横島君は何を考えてるのかしらね)
事の始まりは一週間ほど前で横島達が旅行の準備を終えていた頃、美智恵の元にも六道家から横島達の旅行の話が伝わっていたのだ
どうも冥子が横島達から神界の偉い人が来ると中途半端な情報を冥菜に持ち帰り、唐巣に確認したところ横島達の旅行の参加メンバーが明らかになったようである
冥菜はGS協会の親しい幹部とオカルトGメンにある程度の情報を流し、万が一横島絡みの神魔や妖怪に会っても問題を起こさないように通達を出していたのだ
問題が起きる可能性は低いが万が一何か起きた時には、密かに円満に解決するようにも通達を出している
(問題が起きたらどうするつもりなのかしら?)
計画を主導しただろう横島を思い出し、美智恵は呆れたようにため息をはく
天龍童子と斉天大聖がお忍びとはいえ人界に来るなど、数百年に一度の出来事と言える
人界の竜族は必ずしも神界に従う者ばかりでないし、斉天大聖クラスの神族が人界に来るとそれだけで何が起きるかは想像も出来ない
横島が何を考えてわざわざそんな危険な事をしてるのか、美智恵には全くわからない
前回天龍童子が人界に来た時にメドーサに襲われたのを、忘れたのだろうかと美智恵は頭を悩ませる
(まあ、私には関係ないか)
冥菜からは間違っても近寄ったり関わるなと強く念を押されてる美智恵としては、情報として頭に入れておくしか出来なかった
一方横島達は貸し切りバスで魔鈴の店を出発していた
移動手段に関しては電車も考慮したが、大人数になる事や人界に慣れてない天龍童子の存在を考慮してバスにしている
都内を軽く周り景色を見物していくが、一番喜んでいるのはパピリオと天龍童子と斉天大聖老師だった
「老師様、随分ご機嫌ですね……」
「老師様は立場上滅多に妙神山を離れられませんからね、人界に降りるのを随分楽しみにしていたようなのです」
いつもに増して機嫌よく景色を眺める老師の姿に、魔鈴は少し不思議そうに小竜姫に事情を尋ねるが、どうやら老師もかなり楽しみにしていたらしいと告げるだけである
たまに神族はつまらないとか自由になりたいとか愚痴ってるのだが、流石に小竜姫もそれは言えなかった
「ベスパちゃん元気にしてまちたか? パピはもう大人も同然でちゅ」
「二週間前に会った時とあんまり変わってない気がするけど……」
「あの時と今とじゃ、全然違うでちゅよ!」
一方パピリオとベスパは隣に座り楽しげに会話している
春の卒業パーティー以来、ベスパも暇を見つけては妙神山を訪れてるらしい
最も横島より回数が少ないのがパピリオは不満らしくベスパを困らせてはいるが、それでも定期的に会える環境がパピリオは本当に嬉しいようだった
「シロとタマモを越えるのはもうすぐでちゅね」
ニヤニヤと嬉しそうに自分の成長を実感するパピリオだが、二人も同じように成長するという事実は忘れてるらしい
パピリオの計画では数年でシロとタマモを追い越す予定だった
一方ベスパは会う度に変わりゆくパピリオを、嬉しそうに見つめていた
成長して未来がある幸せ
それは二人にしかわからないものがあるのだろう