サマーバケーション~2~
「こいつが一緒に行くんでちゅか」
「余は天地四海あまたの竜族の王にて……」
「殿下、今日は身分を忘れる約束では? 相手が誰であれ対等なのですよ」
妙神山で初対面したパピリオと天龍童子は微妙な空気を作り出していた
お互い敵視してる訳ではないが警戒はしている
特に天龍童子は身分から基本的に他者に対して上から見るだけに、パピリオの初印象は必ずしもいいものではなかった
そんな二人の間に入った小竜姫は天龍に身分を忘れるように言い聞かせる
この件は魔鈴達にも頼んだが、天龍自身にも徹底されていたのだ
「わっ、わかっておる! 挨拶じゃ挨拶」
身分を忘れなければ神界に帰されると言われていた天龍は、慌てて小竜姫に言い訳をする
天龍自身に悪気はなく、基本的に誰に対しても同じ感じなのだ
「今日はお互いに仲良くして下さいね」
微妙な空気のままの二人に小竜姫は苦笑いを隠しつつ、早く横島に会わせた方がいいと感じていた
どうやら横島に天龍とパピリオの扱いを丸投げするつもりらしい
「よこしまー!」
それから一時間ほどした頃、小竜姫達が魔鈴の店にやってくる
真っ先に横島に抱き着くパピリオは、以前横島がお土産にと買って行った薄いブルーのワンピースを着ていた
「おう~、なかなか似合うじゃんか」
褒めて欲しいと言わんばかりにクルリと回って見せるパピリオに、横島は思わず笑みがこぼれる
始めて会った頃から思えば、表情豊かになり成長したのがよくわかるのだ
「また遊びに来てやったぞ!」
「久しぶりだな~ 相変わらず小竜姫様を困らせてるんだろ?」
「むっ! 余はいい子にしておるぞ! それにもう大人なのじゃ」
パピリオに続き上機嫌の天龍と横島は昔と変わらぬままだった
二人は楽しそうなのだが、見ている魔鈴や唐巣は内心ヒヤヒヤしている
実際天龍童子の力はこの場では斉天大聖に続いてで強く、本気になれば小竜姫ですら止められないだろう
令子ならば細かい事を気にしないのだろうが、横島の態度次第では人間界そのものにも影響がある可能性もあり気が休まらないのは仕方ない事だった
「まあ今日は細かい事は忘れていいさ。 ただ、みんなと仲良くな。 お前なら大丈夫だろうけど」
「横島……」
ぽんぽんと頭を撫でて子供扱いする横島に、天龍は反論しようとするが言葉が続かない
それは横島の表情が以前とはまるで別人のようだったのだ
喜びや悲しみなどを知る本当の大人の表情である
天龍自身は最近まで子供として育っていたが、年齢はすでに七百才を越えており人を見る目はあった
あの時と違い別人のように変わった横島に、天龍は戸惑いが隠せない様子である
その後ワルキューレ・ジーク・ベスパが来ると横島はワルキューレ達の対応をするが、天龍はそんな横島を静かに見ていた
(どうやら大丈夫そうですね)
天龍を始めて見た魔鈴はまだいろいろ不安はあるが、とりあえずは大丈夫だろうと思う
天龍の表情が横島に対して好意的なのは明らかだし、予想していたよりもいい神族だったのだ
言葉は多少上からだが、態度は好意的なのだから魔鈴としてはホッとしている
(横島……)
一方ただ一人タマモだけは、言葉にならない不安を感じていた
神族にも魔族にも同じように接して相手も受け入れる姿は理想ではあるが、それがいつか横島をより危険に晒す気がして怖いのだ
考え過ぎてあって欲しいと願いつつ、タマモは最悪の事態を警戒せずにはいられなかった
「余は天地四海あまたの竜族の王にて……」
「殿下、今日は身分を忘れる約束では? 相手が誰であれ対等なのですよ」
妙神山で初対面したパピリオと天龍童子は微妙な空気を作り出していた
お互い敵視してる訳ではないが警戒はしている
特に天龍童子は身分から基本的に他者に対して上から見るだけに、パピリオの初印象は必ずしもいいものではなかった
そんな二人の間に入った小竜姫は天龍に身分を忘れるように言い聞かせる
この件は魔鈴達にも頼んだが、天龍自身にも徹底されていたのだ
「わっ、わかっておる! 挨拶じゃ挨拶」
身分を忘れなければ神界に帰されると言われていた天龍は、慌てて小竜姫に言い訳をする
天龍自身に悪気はなく、基本的に誰に対しても同じ感じなのだ
「今日はお互いに仲良くして下さいね」
微妙な空気のままの二人に小竜姫は苦笑いを隠しつつ、早く横島に会わせた方がいいと感じていた
どうやら横島に天龍とパピリオの扱いを丸投げするつもりらしい
「よこしまー!」
それから一時間ほどした頃、小竜姫達が魔鈴の店にやってくる
真っ先に横島に抱き着くパピリオは、以前横島がお土産にと買って行った薄いブルーのワンピースを着ていた
「おう~、なかなか似合うじゃんか」
褒めて欲しいと言わんばかりにクルリと回って見せるパピリオに、横島は思わず笑みがこぼれる
始めて会った頃から思えば、表情豊かになり成長したのがよくわかるのだ
「また遊びに来てやったぞ!」
「久しぶりだな~ 相変わらず小竜姫様を困らせてるんだろ?」
「むっ! 余はいい子にしておるぞ! それにもう大人なのじゃ」
パピリオに続き上機嫌の天龍と横島は昔と変わらぬままだった
二人は楽しそうなのだが、見ている魔鈴や唐巣は内心ヒヤヒヤしている
実際天龍童子の力はこの場では斉天大聖に続いてで強く、本気になれば小竜姫ですら止められないだろう
令子ならば細かい事を気にしないのだろうが、横島の態度次第では人間界そのものにも影響がある可能性もあり気が休まらないのは仕方ない事だった
「まあ今日は細かい事は忘れていいさ。 ただ、みんなと仲良くな。 お前なら大丈夫だろうけど」
「横島……」
ぽんぽんと頭を撫でて子供扱いする横島に、天龍は反論しようとするが言葉が続かない
それは横島の表情が以前とはまるで別人のようだったのだ
喜びや悲しみなどを知る本当の大人の表情である
天龍自身は最近まで子供として育っていたが、年齢はすでに七百才を越えており人を見る目はあった
あの時と違い別人のように変わった横島に、天龍は戸惑いが隠せない様子である
その後ワルキューレ・ジーク・ベスパが来ると横島はワルキューレ達の対応をするが、天龍はそんな横島を静かに見ていた
(どうやら大丈夫そうですね)
天龍を始めて見た魔鈴はまだいろいろ不安はあるが、とりあえずは大丈夫だろうと思う
天龍の表情が横島に対して好意的なのは明らかだし、予想していたよりもいい神族だったのだ
言葉は多少上からだが、態度は好意的なのだから魔鈴としてはホッとしている
(横島……)
一方ただ一人タマモだけは、言葉にならない不安を感じていた
神族にも魔族にも同じように接して相手も受け入れる姿は理想ではあるが、それがいつか横島をより危険に晒す気がして怖いのだ
考え過ぎてあって欲しいと願いつつ、タマモは最悪の事態を警戒せずにはいられなかった