「何がどうして、そんなメンバーが集まるワケ？」

「元々はパピリオちゃんとベスパさんを連れて行く予定だったんですが、何故か天龍童子殿下が来る事になって斉天大聖老師様も来る気満々なんです」

冷や汗を流すエミと唐巣に魔鈴は事情を説明するが、魔鈴自身もよく知らないし横島は知り合いならば誰でも気にしないのだ

エミと唐巣は思わず言葉にならないため息をはく


「お忍びなので神族としての扱いはしないで欲しいとの事なんです。　皆さん本当に休暇を楽しむだけなのでよかったらどうですか？」

二人の気持ちもわかる魔鈴だが、逆に小竜姫達の気持ちもある程度理解していた

大人数で気楽に楽しめる旅行にしたいと魔鈴も考えているのである


「まさか旅行代金がタダなのは、小竜姫様から出てるのかね？」

「それは横島さんと私が出してます。　裕福でない方も居ますし、横島さんが気にしないで来て欲しいからと……」

エミに続き唐巣も疑問を問い掛けるが、それは旅行代金の話だった

横島は周りにタダいいからと軽く誘っていたのだ

その誘いはピートやタイガーを経由して、エミや唐巣にもタダのままでと話が伝わっている

旅行代金については魔鈴と横島で少し意見の食い違いがあり、魔鈴は安くても会費にした方がいいと言ったのだが、横島は自分が全部払うからいいと言って譲らなかったのだ

横島自身は百合子の策略による偽の借金があるが、今更返済が少し遅れても構わないだろうと百合子に借金の返済を二ヶ月ほど遅らせたいと話しを持ちかけている

当初あまりいい顔はしなかった百合子だが、使い道が友人や世話になった人の為である事から一応返済猶予に納得していた

横島としては今でも貧乏生活が身に染みている事から、カオスとマリアや小鳩や愛子などお金に余裕のない人を楽に誘いたい事から無料にこだわったようだ

神魔組に関してはパピリオとベスパが世話になっているだけに、横島としてはお金を請求するつもりは全くない

結果的にエミや冥子などの金持ち組にも、差別しない為にと無料にしてしまったのだからやはり横島は変わっているのだろう


ちなみに本来横島にあるはずの以前西条から得た示談金だが、あれはタマモとシロの名義で二等分されて密かに貯蓄に回されている

二人がいつかお金を必要になる時が来るかもしれないと考えた横島が、臨時収入をそのまま二人の貯蓄にしてしまったのだ

この件に関しては横島と両親と魔鈴の四人しかしらない事である

世の中なんでも金で解決出来る訳ではないが、もし将来タマモとシロの平和な生活が脅かされる時が来ても、お金があれば解決出来る可能性が広がるのは確かなのだ

かつて令子の元に居た経験が微妙に役に立っていた


「いいのだろうか……」

話しは戻って年若い横島のおごりで旅行に行く事に、唐巣は抵抗感を感じてしまう

自分の日頃の行動を棚に上げておいてなんだが、基本的に人に世話になるのは抵抗があるようだ


「横島さん、この件に関しては結構頑固なんですよね。　貧乏とかお金に関してこだわりと言うか、トラウマみたいなモノがありまして……」

横島の金銭感覚と言うかお金の問題は、魔鈴の悩みの一つでもある

お金を稼ぐのは嫌いではないのに、基本的にあまり自分で持ちたがらないのだ

西条の和解金のように臨時収入が入るとタマモとシロの貯蓄か妙神山へのお土産で使っていまい、あまり自分の手元には残さなかった