「ＧＳはどこだ！　探せ！！」

来ると思いもしなかったＧＳからの攻撃に慌てた海坊主は悪霊や低級妖怪に周囲を探るように激を飛ばすが、海中にも海上にも人影はない

海岸からは距離も離れておりまさか海岸からの攻撃とは思わないようである


「悪霊の動きが……」

「変わった？」

一方海岸の魔鈴達だが、突然悪霊の動きが散漫になった事に不思議そうであった

何かの作戦かと疑う者も多いが、悪霊や低級妖怪が連携もなく襲っても来なくなる現状は理解出来ない者が多い



「やっぱ外れたか」

「もう一回行くわよ。　当たらなくても逃げてくれればいいんだから」

そして横島だが、予想していたとはいえり外れた事に苦笑いを浮かべていた

当たるとは思わなかったが、もう少し近くには行くかと思っていたのだ

しかしタマモとしてはこれも計算のうちだった

目的は敵の撃破ではなく、魔鈴達や六道女学院の生徒達が除霊出来るようにこの地域から操る者を排除することなのだから

まあ倒すに越したことはないが、別に逃げるならそれで構わないのである


「わかった。　次行くぞ」

タマモの言葉に再び集中する横島は、文珠で【槍】を作ってもう一度投げた


ザシュ！！

横島の投げた二本目の槍は直撃に近いコースだったが、同じ攻撃を警戒していた海坊主に避けられてしまう

長距離攻撃は細かなコース変更が難しく避けやすいようである


「ぎゃーー！　死にたくない！！」

しかし一本目より近くに来た槍の成果は十分だった

元々臆病な海坊主は得体の知れない攻撃に恐怖して、一人で逃げ出してしまう

周りの悪霊や低級妖怪と違いなまじ知性があるだけに、死の恐怖に勝てなかったようである


「逃げたでござるな……」

「戻って来ないように、もう一回行くわよ」

あまりに呆気なく逃げていく海坊主に、シロは不思議そうな表情だった

あれだけ好き勝手しておいて簡単に逃げるとは思わなかったようである

結局逃げている最中にも体の近くに三本目の文珠の槍が突き刺さった事で、海坊主は冷静さを失って沖の深い方に逃げて行った



「これで大丈夫そうだな」

操る海坊主を失った悪霊達は付近を浮遊しながら暴れるが、ＧＳ達を狙っておそう事はなくなった

そして低級妖怪の方だが、こちらはＧＳ達の強い霊力を感じたのか海坊主の力が消えたと同時に海に逃げ帰っていく

元々攻撃的な者達ではないし理性もないが、だからと言って積極的に人を襲う者達ではないのだ

その結果残ったのは例年より多い悪霊だけだが、連携もなく積極的に襲ってくる訳でもない悪霊達ならば六道女学院の生徒でもなんとかなるだろう



「魔鈴さん、聞こえる？　悪霊を操ってた奴は追い払ったわ。　後は問題ないみたいだから頑張ってね」

海坊主が戻って来ないのを確信すると、タマモは文珠の【伝】の相手を横島とシロから魔鈴に切り替える


「えっ！？　タマモちゃん……？」

その時魔鈴は突然頭に響く声に固まっていた

悪霊達を操る者を退治に行こうとした矢先に悪霊達は連携を失い低級妖怪が逃げていたのだから、いろいろ考え警戒していたのだ

そんな中で突然タマモの声がしたのだから訳が分からなかったようである