初夏の訪れは女子高生と共に……

「何がどうなってるんだ?」

海岸で奮闘する者達を見ながら、横島は何がどうなっているのか考えていた

次々に押し寄せて来る悪霊や低級妖怪はまるで知性があるように連携がとれている

悪霊や低級妖怪がそれほど知性がある訳はないので不思議な現状だった


「誰かが操ってるみたいね」

「そういえば一体だけ強い力を感じるでござるな」

同じく異変の理由を考えていたタマモとシロだが、こちらの二人は異変の原因を突き止めていた

正直海中は得意でない二人だが、それでも集中すると一体だけ別格な霊格がある存在はわかるらしい


「操ってるってネクロマンサーか?」

二人の言葉に横島の顔に緊張が走る

操ると言われてかつてのネクロマンサーの能力を持つネズミを思い出し、あの時の恐怖が蘇ってきてしまう


「そこまではわからないわ。 雑魚霊とか低級妖怪が邪魔で霊視出来ないし…… それに私達の能力って水中じゃあんまり役にたたないのよ」

なんとも言えない表情のタマモとシロ

二人の能力は高いが水中だと霊臭は追えないし、本来は森に生きる妖怪なだけにあまりわからないらしい


「魔鈴殿達はともかく、このままだと六道女学院の生徒達はヤバいでござるな」

悪霊や低級妖怪ゆえに恐怖や負ける事も気にしない大量の相手と、経験不足ですでに恐怖を感じている六道女学院ではやはり六道女学院側がかなり不利である

シロは助けた方がいいのではと思い横島を見つめていた



同じ頃海岸を掌握して多少全体を見る余裕が出来たGS達は、事態の解決方法を模索している最中だった


「魔鈴、気付いてる?」

「ええ、誰かがコントロールしてますね」

本来は全く別の存在であるはずの悪霊と低級妖怪が連携している現状に、エミと魔鈴は誰がが悪霊や低級妖怪をコントロールしている事に気付いている

元々、悪霊と妖怪は全く別の存在なのだ

一般人は同じ霊障として考えるが、悪霊はあくまで霊であり妖怪は生きている存在なのだから全くの別物と考えていい

力のある妖怪が霊を操るなどはありえる話だが、今回のように悪霊や低級妖怪が連携して人間を襲うなど稀である


「誰だか知らないけどナメた真似してくれるワケ」

「恐らく相手は海中でしょう。 私達でも海中に潜り悪霊や妖怪を操る相手と戦うのは危険過ぎます」

会話をしながらもエミはブーメランで、魔鈴は浄化の簡易魔法で除霊を続けている

その前ではタイガーと雪之丞が二人を守るように接近して来る悪霊を除霊していくが、四人の除霊は周りの一流GSから見ても別格だった

魔鈴とエミの共同除霊はこれが初めてなのだが、それを知らぬ者にはそうは見えなないくらいに


「チッ! 水中の装備も持ってくるんだったわ」

水など肉体がなく関係ない悪霊や、海の低級妖怪を相手に海中に居るボスクラスの敵と戦うには相当な準備が必要である

強力な水中用の結界や水中用の攻撃装備などもあるのだが、残念ながらエミも持って来てないらしい


「俺が行こうか? 魔装術なら多分水中も大丈夫だと思うが……」

エミと魔鈴の会話に自分が行けばいいか尋ねる雪之丞だが、本当に魔装術が水中で戦えるのか彼は知らない

そもそも水中戦など初めてなのだから

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