初夏の訪れは女子高生と共に……

一方海岸から戻った魔鈴達は、休憩を挟んで監督GS達と顔合わせをしようとしていた

顔合わせに使われた部屋は、ホテルの宴会場のような広い部屋だった

先程までは生徒達への説明や指導をしていたらしく、たくさんの座布団が並んだままである

部屋に居る人数はざっと50人は居るだろうか

おそらく正規の依頼を受けたGSが半数くらいで、後の半数は助手だろう


「あら、おたく達も来たのね」

「ええ先週に急遽依頼されまして」

部屋に訪れた魔鈴に声をかけたのはエミだった

隣には困った表情のピートがエミに腕を組まれており、背後には少し羨ましそうなタイガーもいる

危険な戦いを幾度となく経験しているだけに、この三人は相変わらずマイペースなようだ


「しかし凄い人数ですね」

魔鈴は改めて部屋の中に居るメンバーを見ていくが、それなりの実力者が集まってるらしく魔鈴に対して鋭い視線を向ける者もいる

というか今は私服なため、魔女服を着てない魔鈴が誰だかわからないだけなのかもしれないが


「それでは、今回の除霊に関しての説明を始めさせて頂きます」

魔鈴達の後に数人の人が部屋に来ると、霊能科の教師らしき50代の男性が仕切って除霊に関する説明が始まる

事前情報はすでに全員に伝わっているが、現地での霊視を含めた最終情報を伝えて生徒達の状態や除霊する方法など話は細かく説明されていく

目的はあくまで生徒のフォローと監督であり、基本的には生徒に除霊させなければならない

まあ実際には監督GSの実力や除霊を生徒達に体験させる意味もあるので、全く手を出さない訳ではないのだが


そんな説明の最後に、教師が多数のGS達の持ち場を告げていく

GS達は左・中央・右の三組に分けられ、各組に霊能力がある教師数名が配置されて細かい部分は各組で判断されるようだった

中央の組には唐巣やピートや冥子、左側の組にはエミやタイガーが配置され、魔鈴と雪之丞は右側の組に配置されている

この組分けに関しては、おそらく各GSの能力や実力を判断した結果だろう

万が一の場合を想定すると、唐巣・エミ・魔鈴の三人は分けられて当然である



その頃おキヌ・かおり・魔理の三人は、同室で今夜に備えて休もうとしてるところだった

例年の除霊でも深夜から明け方まで時間がかかる事があり、かなりの長期戦を想定されているのだ


「こんな明るい時間から寝れるかな~」

「なに言ってんの、夜に備えて眠るのもGSの仕事なのよ」

臨海学校という事もあり遠足気分が抜けない魔理に、かおりは少し呆れたようにダメ出しする

実戦経験の乏しい魔理は悪い意味で緊張感がないらしい

ただこの二人は一年の時にも同じ除霊を経験しており、今回初参加なのは一年の途中に編入したおキヌのみである

そのおキヌだが、彼女は持参したネクロマンサーの笛を磨きながら少しぼうっとしていた


「氷室さん、今回は除霊アイテムは学校側で用意した物を使うはずですよ」

「……えっ!? はい、知ってます。 ただ美神さんが、万が一を考えて持って行った方がいいって言っていたので……」

ネクロマンサーの笛を持参したおキヌを注意するかおりに、ぼうっとしていたおキヌは少し驚きつつ理由を説明していた


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