初夏の訪れは女子高生と共に……

さて特別講義が終わった生徒達の反応だが、おおむね好評だった

大半は魔鈴の話の内容より見せた魔法に驚きや感動を覚えているが、それでも僅かながらも魔鈴の講義の内容を理解している者もいる

かおりと魔理もおおよそで理解してる方に入っており、それぞれに考えさせられる内容だった

まあ二人の場合は卒業パーティーの件があればこその理解だが、それでも改めてGSの難しさを痛感していたのは言うまでもない



その頃理事長室では、魔鈴が冥菜と唐巣に講義内容の説明など報告を行っていた

正式には後日文章で報告するのだが、誤解がないように今のうちに説明していく

魔鈴としては冥菜や唐巣が講義内容を理解出来ないとは思ってないが、解釈の違いやちょっとした見方の違いにより誤解を生む可能性はある

今回の特別講義を生かすか殺すかは、今後の学院側の教師によるだろう

魔鈴はそこまで関与しないが、願わくば少しでも今後の糧となって欲しい

そんな想いから冥菜には詳しく説明していた


「面白い講義だったわ~ きっと生徒達の将来に役に立つわね~」

ニコニコと魔鈴の報告を聞いていた冥菜は、終始機嫌がいいままである

一流の特別講師といえど私利私欲の全くない講義は意外と少ないのが現実だし、純粋に生徒達の未来を考えて講義した魔鈴には感謝すらしていた

冥菜自身は野心家でもあり六道女学院は様々な利害が絡む学校だが、その半面で生徒達を愛して彼女達の将来を考えてるのも事実である

自分の学校を卒業した生徒達がみんな幸せになって欲しいという願いは当然持っており、その為に努力をしているのも事実だった


そういう意味では魔鈴のような教師がぜひ欲しいのが本音だが、さすがにこれ以上の無理は冥菜でも言えない

魔鈴は気付いてない事だが、現在GS協会が魔鈴の日本での後ろ盾として見てるのは小竜姫である

これは横島が美神事務所を辞めた後に、小竜姫が横島を弟子だと認めた事が間接的に影響していた

魔鈴が横島を引き取った事はGS協会幹部は当然知っているし、横島を通して間接的に魔鈴も小竜姫の影響下に居ると判断されている

実際冥菜は魔鈴が横島と共に妙神山を度々訪れている事実を冥子から聞いて把握しており、その判断が正しいと考えているようだった


「以上で終わりです。 それでは報告書は後日という事で、あと要件が無ければ私は失礼しますが」

一通り報告を終えた魔鈴はそのまま帰ろうとするが、冥菜に引き止められる


「実はもう一つ頼みたい仕事があるの~ 正直私も頼んでいいか迷ってるから、気が向かないなら素直に断ってくれて構わないわ~」

珍しく迷いの表情を浮かべる冥菜が魔鈴に見せたのは臨海学校のしおりと、臨海学校で行う除霊の調査書だった


「六道さん、あれは魔鈴君にはちょっと……」

臨海学校のしおりを見た唐巣は引き攣った表情で冥菜を止める


「わかってるわ~ でも実力のあるGSは出来るだけ集めたいの~」

毎年恒例の臨海学校における除霊だが、今年は少し例年と違っている

それは唐巣も知らなかった事だが、例年は霊能力のある教師に加えて一流GSを数名監督の為に呼んで行う除霊を、今年は一流GSを大幅増員する事に決まっていたのだ


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