梅雨の終わり

「なあタイガー、横島さんっていつもあんな感じか?」

魔鈴宅を後にした魔理だが、なんか釈然としないものがあった

別に怒られたかった訳じゃないが、流せるほど軽くもない

それなのに過去の事だからと軽く流す横島に多少違和感を感じる


「どうなんですかいノー。 ただ横島さんはデリケートな問題はあまり人に言わないですケン」

横島が二人に対して怒ってないだろう事は理解してるが、実際横島が二人をどう思ってるかはタイガーも知らない

雪之丞やタイガーの手間、二人を責めるような事は言わなかったが本心までは当然わからないのだ


「何が気に入らないんですの?」

「いやさ。 私達があれだけ好き勝手言ったのに、簡単に笑って許すのはちょっとな…… 落し前つけてないみたいですっきりしないんだよな」

謝ったのだからいいと考えるかおりに対して、魔理は自分のした事に対してきっちり落し前をつけなれかった事が気になっていた

魔理の価値観としては、横島が怒って一発殴ってくれた方がすっきりするのだろう


「それは貴女の都合でしょ? 普通に考えてタイガーさんの彼女である貴女にきつくあたる訳ないと思います」

魔理としてはタイガーには仲介はたのんだが、それ以上の意味を考えてない

しかし横島から見れば、タイガーの彼女として扱ったのだとかおりは考えている


「私はそんなつもりじゃ……」

「横島さんは元々、他人に対して怒る事がほとんどないですからノー。 ふざけ半分で怒る事はあっても、誰かを責めるように怒っるのは滅多にないですケン」

気を使われたような言い方をするかおりに、魔理は不満そうな顔をしていた

魔理として本心から謝ったのだし、きちんと気持ちをぶつけて欲しかったのだろう

そんな魔理に対してタイガーは、横島は根本的に他人に対して怒る事が滅多にないと告げる

と言うか高校時代もクラスメートの横島に対する扱いも、決していいものではなかったのだ

しかし横島はそれに対して本気で怒った事がない

元々横島が悪い事もあるが、あれが横島以外ならばイジメとなっても不思議ではない環境だったとも言える

しかしタイガーが知る限りで、横島が本気で怒った相手は西条のみだった

令子に対して怒った事は話としては聞いているが、あまり詳しくは知らない訳だし

そもそも横島が自分の事で怒るのかどうかすら、タイガーにはわからない

西条の件は明らかにタマモとシロの問題で怒ったのだから


「横島さんは怒るくらいなら拒絶しますケン。 二人に関してはそこまで怒ってないと言う事だと思います」

実際タイガーにも横島の本心はよくわからないが、令子や西条のように始めから拒絶されないだけ二人に対して怒りがないのだと考えている

かおりと魔理としては自分達のした事は普通ではないが、横島としてはあの程度の理不尽な扱いは珍しくない

価値観の違いなのだろうが、横島がわざわざ根に持つほどじゃない事を三人は知らなかった


結局二人の謝罪は形としては成功するが、それで全てが終わるほど単純な問題ではない

まあ最低限のケジメを付けた事は確かだし、二人があの問題から一歩進んだのは確かなようである


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