梅雨の終わり

破魔札の講義も一段落した頃、魔鈴は夕食の支度に入っていた

いつもは店が終わってから夕食にするのだが、この日は休みだったために少し早い時間に夕食の支度を初めている

そんな魔鈴の元に、タイガーに連れられた魔理とかおりがさっそく尋ねて来ていた

魔理の性格が基本的にはせっかちだったらしく、かおりと相談した後タイガーを呼び出してさっそく謝りに来たらしい


「あのー、突然すいませんですケン。 魔理サンがどうしてもと言うんで……」

顔色が悪いタイガーは、この先の展開にビクビクしながら魔鈴に二人を取り次ぐ

横島と魔鈴が魔理とかおりの二人に対して特に蟠りなど感じてないのは知っているが、横島の地雷とも言えるデリケートな問題にも関わるために、二人がおかしな事を言わないか心配でたまらないようだ


一方魔鈴は、突然尋ねて来た二人の意図がわからなく悩んでいた

(まさか、またおキヌちゃんの件でしょうか?)

まさか過去の問題を今更謝りに来るとは思いもしない魔鈴は、またおキヌ絡みの問題でも持って来たのかと疑ってしまう

魔理とタイガーの和解は本人から聞いて知っているため魔理はいいのだが、かおりの方は卒業パーティー以来全く考えや行動が見えなかったため疑う原因になったよいである


「その……、あの時の事を謝りたいと言ってるんですジャー」

少し困ったように悩む魔鈴に、タイガーは二人から頼まれた件を説明していく

正直魔鈴にとって二人が歓迎する相手でないのは、タイガーも理解している

しかし謝りたいと頼む二人の気持ちも大切にしたいタイガーは、横島達と魔理達の中間で悩んでるようであった


「えっ!? 謝りに来たんですか?」

予想外の用件に魔鈴は驚き目を見開く

今更何故謝りに来たのか理解出来ない



少し悩んだ魔鈴だが謝りに来た二人を追い返す訳にもいかずに、自宅に案内していく


「お元気そうですね。 そう言えば今度、六道女学院に特別講師として行く事になってますので、よろしくお願いします」

前回とは違い神妙な面持ちの二人に、魔鈴はにこやかに言葉をかけていた


(まさか、特別講師の前に蟠りを解決しようとしたのでは……)

世間話のように特別講師の件を話した魔鈴だが、ふとそこまで話して特別講師の前に謝りに来たのかと感じる

直接関係ない気もするが、特別講師の時に自分達のあの時の行動がおキヌや周りのクラスメートに伝わるのを恐れたのかとも思う


(どっちにしても多少は大人になったようですね)

イマイチ二人の目的に確信が持てない魔鈴だが、謝りに来た事自体は評価していた

それに前回と違い神妙な面持ちで緊張してる二人の姿からは、あの時に唐巣と雪之丞の説明が多少なりとも生かされてるのを感じる

どちらかが絶対的に正義や悪いなどは有り得ないのだ

二人がそれを理解して、大人として自分達の行動を反省すればそれでいいと思う


(そういえば、雪之丞さんと弓さんはあれ以来初対面ですね。 こちらはどうやるのかしら?)

横島の問題もあるが、雪之丞とかおりの問題もある

魔鈴としては気をつけなくてはならない件が多かった

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