梅雨の終わり
「六道さん……」
「黙ってても助けてくれる子達に、何か要求する必要はないでしょう~?」
今回の件は冥菜にとって得るモノが多かった
業界内に待望論がありながら自分の生き方を変えなかった唐巣がGS教会幹部に就任する事は、六道家のみならず業界全体にとって有益である
様々な問題を抱えるオカルト業界を牽引するには、唐巣のような苦労をした人間が最適なのだ
まあ唐巣にとっては今までと別の苦労を抱える事になるだろうが、アシュタロス戦を始め最前線で戦い抜いて来た唐巣が本気になれば存在感も発言権も他を圧倒するだろう
少なくとも寿命を縮めるような現状よりはマシだと言える
それに加え横島達の一定の動きが見えた事も、冥菜にとっては大きな収穫だった
相変わらず横島本人の意思は見えないが、少なくとも周りの人間が困れば無視出来ない価値観は見てとれる
冥子と横島達の距離感がイマイチわからなかった冥菜だが、倒れた唐巣の為に動くならば冥子の事も助けてくれるだろう
そういう意味では冥菜が最も知りたかった事の一つが判明したとも言えるのだ
(相変わらず怖い人だ)
あまり知らないはずの横島達の事を大筋で理解してる冥菜に、唐巣は背筋が寒くなる気がした
唐巣自身ですら現状の横島には戸惑いが消えないのに、冥菜はすでに横島達の弱点を理解してるように感じる
(おそらく横島君達は冥子君が困れば放っておけないだろう。 しかし過去の横島君を知る六道さんが、こうも簡単にそこまで読むとは……)
身近な存在を放っておけないだろう横島達の性格を理解している冥菜には恐ろしくすら感じる
過去の横島を知る者は多かれ少なかれ今の横島に戸惑いを感じてるのだが、冥菜は現状の横島達を冷静に受け止めていた
『黙ってても助けてくれるから何も求めない』
それは当然といえば当然だが、冥菜ほどの立場の人間がそこまで相手を信じて割り切るなどなかなか出来ないだろう
それを平然と行う冥菜の恐ろしさを唐巣は痛感していた
「そんな怖い顔をしないで欲しいわ~ みんなが幸せになれるなら、それが一番でしょう?」
「はあ……」
「そうそう、魔鈴ちゃんに六道女学院の講師を頼んだの~ これは無関係だから、下手に勘繰らないでね~」
ニコニコと説明を続ける冥菜に、唐巣は終始緊張気味のままである
「魔鈴君に特別講師ですか? 確かに彼女は優秀ですが…… まさか、横島君に何か期待してるなら止めた方が……」
冥菜が横島達に手を出すのはないと確信する唐巣だが、時期が時期だけに突然魔鈴を特別講師にしようとするのは疑問が残る
言いにくそうにそれを問い掛けるが、冥菜は思わず笑っていた
「横島君に講師が勤まるなんて、考えて考えてないわよ~ そもそも私はそこまで今の横島君を知らないわ~」
横島の事を評価している冥菜だが、今の横島を直接は知らないのだ
それに元々霊能が素人な横島に、特別講師が勤まるとは考えてない
「実は生徒達の事で困ってるのよ~ アシュタロス事件の影響で悪霊や妖怪を怖がる生徒が多いし、令子ちゃんみたいになりたい生徒も多くて~」
事情を話した冥菜の言葉に唐巣の表情が固まってしまう
一瞬六道女学院の生徒がみんな令子化した場面を想像してしまったのだ
「黙ってても助けてくれる子達に、何か要求する必要はないでしょう~?」
今回の件は冥菜にとって得るモノが多かった
業界内に待望論がありながら自分の生き方を変えなかった唐巣がGS教会幹部に就任する事は、六道家のみならず業界全体にとって有益である
様々な問題を抱えるオカルト業界を牽引するには、唐巣のような苦労をした人間が最適なのだ
まあ唐巣にとっては今までと別の苦労を抱える事になるだろうが、アシュタロス戦を始め最前線で戦い抜いて来た唐巣が本気になれば存在感も発言権も他を圧倒するだろう
少なくとも寿命を縮めるような現状よりはマシだと言える
それに加え横島達の一定の動きが見えた事も、冥菜にとっては大きな収穫だった
相変わらず横島本人の意思は見えないが、少なくとも周りの人間が困れば無視出来ない価値観は見てとれる
冥子と横島達の距離感がイマイチわからなかった冥菜だが、倒れた唐巣の為に動くならば冥子の事も助けてくれるだろう
そういう意味では冥菜が最も知りたかった事の一つが判明したとも言えるのだ
(相変わらず怖い人だ)
あまり知らないはずの横島達の事を大筋で理解してる冥菜に、唐巣は背筋が寒くなる気がした
唐巣自身ですら現状の横島には戸惑いが消えないのに、冥菜はすでに横島達の弱点を理解してるように感じる
(おそらく横島君達は冥子君が困れば放っておけないだろう。 しかし過去の横島君を知る六道さんが、こうも簡単にそこまで読むとは……)
身近な存在を放っておけないだろう横島達の性格を理解している冥菜には恐ろしくすら感じる
過去の横島を知る者は多かれ少なかれ今の横島に戸惑いを感じてるのだが、冥菜は現状の横島達を冷静に受け止めていた
『黙ってても助けてくれるから何も求めない』
それは当然といえば当然だが、冥菜ほどの立場の人間がそこまで相手を信じて割り切るなどなかなか出来ないだろう
それを平然と行う冥菜の恐ろしさを唐巣は痛感していた
「そんな怖い顔をしないで欲しいわ~ みんなが幸せになれるなら、それが一番でしょう?」
「はあ……」
「そうそう、魔鈴ちゃんに六道女学院の講師を頼んだの~ これは無関係だから、下手に勘繰らないでね~」
ニコニコと説明を続ける冥菜に、唐巣は終始緊張気味のままである
「魔鈴君に特別講師ですか? 確かに彼女は優秀ですが…… まさか、横島君に何か期待してるなら止めた方が……」
冥菜が横島達に手を出すのはないと確信する唐巣だが、時期が時期だけに突然魔鈴を特別講師にしようとするのは疑問が残る
言いにくそうにそれを問い掛けるが、冥菜は思わず笑っていた
「横島君に講師が勤まるなんて、考えて考えてないわよ~ そもそも私はそこまで今の横島君を知らないわ~」
横島の事を評価している冥菜だが、今の横島を直接は知らないのだ
それに元々霊能が素人な横島に、特別講師が勤まるとは考えてない
「実は生徒達の事で困ってるのよ~ アシュタロス事件の影響で悪霊や妖怪を怖がる生徒が多いし、令子ちゃんみたいになりたい生徒も多くて~」
事情を話した冥菜の言葉に唐巣の表情が固まってしまう
一瞬六道女学院の生徒がみんな令子化した場面を想像してしまったのだ