梅雨の終わり
少し話が逸れたが講習はオカルト犯罪への対応や警察やオカルトGメンへの報告、それに加え状況により出来れば犯人の確保もして欲しいと話して終わりに近付く
警察・オカルトGメン・GS協会が現在積極的に協力している数少ない問題なだけに、その力の入れようが違うようだ
「この先、君達にも甘い誘惑などがあるかもしれない。 だが決して間違った道に行かないようにして欲しい。 犯罪に明るい未来などありはしないのだからね」
途中から少し熱くなっている様子の西条は、力強い口調で新人達に倫理感やモラルについて熱く語っていた
正義を心情にする西条なだけに、新人GSに正しき道を示すのは自分の役割だとでも考えているのかもしれない
(やっぱり何も理解して無いな……)
多くの新人達が真剣に西条の話に聴き入っている頃、雪之丞は無表情で呆れていた
自分好みの正義を押し付けたがる西条に、雪之丞は先日の横島との揉め事で何も学んでない事に呆れるしかない
(生きるのに精一杯な人の気持ちなんて、奴に理解出来る訳がないか……)
雪之丞も犯罪を正当化する訳ではないが、一くくりに悪だと決め付けるのには抵抗がある
特にGS制度は一部の人間に都合良く出来ているのだ
GSが師匠の権限で、弟子をいつまでも安い労働力として使うなんて事も珍しくない
まあ令子のように極端な例は無いが、修行中だという名目で最低限の給料で何年もこき使うのはよくある事だった
雪之丞もモグリのGSに知り合いが居るが、雪之丞が付き合うモグリのGSはそんな業界の古い体質に合わないで辞めた者ばかりである
他のGSに弟子入りし直してGS免許を取ればいいと思うかもしれないが、基本的に他から逃げ出した者を受け入れるGSは少ないのだ
そんな雪之丞にとって意味の無い講習もようやく終わりを告げていた
多くの新人は西条の話に共感や感動しており、中にはもっと西条の話を聞きたいと駆け寄っていく者も居る
しかし雪之丞とタイガーの二人だけは、異質な様子で無言のまま部屋を後にしていく
「相変わらずな人ですノー」
GS協会のビルを出たタイガーは、ようやく表情が緩んで言葉を口にしていた
誰が居るかわからないGS協会のビルでは気を使って無言を貫いていたらしい
「別に間違った事は言ってないさ。 ただ俺は奴とは関わりたくない」
「それはワッシも同じですケン」
二人共に西条が間違ってるとは思わないが、関わりたくはないという気持ちは一緒だった
先日の横島との揉め事の結末を知るだけに、関わってもロクな事がないと実感しているようだ
「しかし他の人は、随分感動しとりましたノー」
「口は上手い奴だからな。 現実を知らん連中には奴の正義は心地好く聞こえるだろうさ」
正義感や人の為に働きたいという気持ちは、誰しも少しはある
現実を知らない見習い達にとっては、英雄の一員と言われる西条の正義が憧れになるのは仕方ない事だった
「まあ、奴の器じゃあれが精一杯さ。 関わればすぐにボロが出るはずだ」
予想以上に口が上手かった西条だが、中身がついて行かないのを知る雪之丞はあれ以上何も出来ないと理解している
一見すると心地好い理想や正義を語る西条だが、実際の西条の姿は理想とはまるで違うのだ
結局、横島達との法的和解後も西条は何も変わらなかった
そして今後GS業界で生きていく雪之丞とタイガーとの関係も、相変わらずのままだった
警察・オカルトGメン・GS協会が現在積極的に協力している数少ない問題なだけに、その力の入れようが違うようだ
「この先、君達にも甘い誘惑などがあるかもしれない。 だが決して間違った道に行かないようにして欲しい。 犯罪に明るい未来などありはしないのだからね」
途中から少し熱くなっている様子の西条は、力強い口調で新人達に倫理感やモラルについて熱く語っていた
正義を心情にする西条なだけに、新人GSに正しき道を示すのは自分の役割だとでも考えているのかもしれない
(やっぱり何も理解して無いな……)
多くの新人達が真剣に西条の話に聴き入っている頃、雪之丞は無表情で呆れていた
自分好みの正義を押し付けたがる西条に、雪之丞は先日の横島との揉め事で何も学んでない事に呆れるしかない
(生きるのに精一杯な人の気持ちなんて、奴に理解出来る訳がないか……)
雪之丞も犯罪を正当化する訳ではないが、一くくりに悪だと決め付けるのには抵抗がある
特にGS制度は一部の人間に都合良く出来ているのだ
GSが師匠の権限で、弟子をいつまでも安い労働力として使うなんて事も珍しくない
まあ令子のように極端な例は無いが、修行中だという名目で最低限の給料で何年もこき使うのはよくある事だった
雪之丞もモグリのGSに知り合いが居るが、雪之丞が付き合うモグリのGSはそんな業界の古い体質に合わないで辞めた者ばかりである
他のGSに弟子入りし直してGS免許を取ればいいと思うかもしれないが、基本的に他から逃げ出した者を受け入れるGSは少ないのだ
そんな雪之丞にとって意味の無い講習もようやく終わりを告げていた
多くの新人は西条の話に共感や感動しており、中にはもっと西条の話を聞きたいと駆け寄っていく者も居る
しかし雪之丞とタイガーの二人だけは、異質な様子で無言のまま部屋を後にしていく
「相変わらずな人ですノー」
GS協会のビルを出たタイガーは、ようやく表情が緩んで言葉を口にしていた
誰が居るかわからないGS協会のビルでは気を使って無言を貫いていたらしい
「別に間違った事は言ってないさ。 ただ俺は奴とは関わりたくない」
「それはワッシも同じですケン」
二人共に西条が間違ってるとは思わないが、関わりたくはないという気持ちは一緒だった
先日の横島との揉め事の結末を知るだけに、関わってもロクな事がないと実感しているようだ
「しかし他の人は、随分感動しとりましたノー」
「口は上手い奴だからな。 現実を知らん連中には奴の正義は心地好く聞こえるだろうさ」
正義感や人の為に働きたいという気持ちは、誰しも少しはある
現実を知らない見習い達にとっては、英雄の一員と言われる西条の正義が憧れになるのは仕方ない事だった
「まあ、奴の器じゃあれが精一杯さ。 関わればすぐにボロが出るはずだ」
予想以上に口が上手かった西条だが、中身がついて行かないのを知る雪之丞はあれ以上何も出来ないと理解している
一見すると心地好い理想や正義を語る西条だが、実際の西条の姿は理想とはまるで違うのだ
結局、横島達との法的和解後も西条は何も変わらなかった
そして今後GS業界で生きていく雪之丞とタイガーとの関係も、相変わらずのままだった