卒業の意味
駐車場から会場に歩いてゆく令子だが、視線は増えてゆくばかりである
声をかけて名刺を渡そうとする者や弟子入り志願者などが大量に周りに集まるが、令子は言葉少なく断り先を急ぐ
「令子ちゃん久しぶりアルネ~ 厄珍堂特製タオルあげるアル」
そんな中、わざと親しい友達のように声をかけたのは厄珍である
周りの業界関係者に令子と親しいのを見せ付けて、名前を売ろうとする企みがミエミエだ
「厄珍… 私を利用すれば高くつくわよ?」
優しい笑みを浮かべつつ、厄珍の耳元で令子はささやく
「そんなつもりは無いアルヨ~ 私と令子ちゃんは友達ネ」
若干顔が引きつり気味の厄珍だが、さも親しげに周りに聞こえるように令子と会話する
「分け前はきっちり貰うわよ」
令子はもう一度厄珍にだけ小声でささやき、歩いてゆく
令子の周りにはそのまま何十人もの人が着いてゆくが、残った厄珍の周りにも数人の人が集まっていた
令子とは友達で、御用達の店だと言葉巧みに周りに話して商売をする厄珍
彼の名刺と粗品はこの後あっと言うまに無くなって、卒業式が始まる前にホクホク顔で帰って行く
一方会場に入った令子は、六道家の控室に行って挨拶していた
「おばさま、お久しぶりです」
「令子ちゃん~ 今日はよろしくね~ みんな令子ちゃんのお話楽しみにしてるのよ~」
作り笑顔で挨拶する令子に対して、冥菜は相変わらずの笑顔である
彼女の笑顔が本心からなのか作り笑顔なのか、令子には相変わらずわからなかった
「令子ちゃ~ん…」
ドドドドド……
そんな中、遠くから地響きのような音と令子を呼ぶ声がする
「ゲッ… 冥子!! こんな場所で式神出さないでよ! みんなで生き埋めになるのは嫌よ!」
式神達に囲まれて近寄って来た冥子に、令子は引き攣った笑顔で文句をつけた
「ごめんね~ 令子ちゃん」
ニコニコとした笑顔で話す冥子は、令子に会えた嬉しさでいっぱいのようだ
「オホホホ… 仲が良くていいわね~」
令子と冥子の様子を見て笑う冥菜
しかし、令子はそんな親子を一人で相手にするのに疲れていた
「令子ちゃん~ まだ時間あるからお茶に行きましょう~」
腕にしがみつき駄々っ子のようにお願いする冥子に、令子はため息をはきながら付き合っていく
どうやらプッツンだけは避けたいようだ
冥菜がそんな令子と娘の様子を見て、満足そうな笑みを浮かべていたのは気のせいでは無いだろう
その頃、別の控室では美智恵と西条が本番開始の時間まで休憩していた
美智恵は特にいつもと変わらない様子に見えるが、西条は素晴らしく機嫌が良い
横島が令子の事務所を辞めたことを知ってからは、ずっと機嫌がいいのだ
邪魔者が居なくなり、自分が勝ったような気分になっていた
(人の苦労も知らないで…)
そんな西条を見ていると無償にイライラする美智恵だが
横島を失った今、西条まで去られては困るので我慢していた
(いい年した大人なんだから、周りの人の気持ち考えなさいよね…)
相変わらず横島が相手だと妙にムキになる西条に、美智恵はため息をはく
声をかけて名刺を渡そうとする者や弟子入り志願者などが大量に周りに集まるが、令子は言葉少なく断り先を急ぐ
「令子ちゃん久しぶりアルネ~ 厄珍堂特製タオルあげるアル」
そんな中、わざと親しい友達のように声をかけたのは厄珍である
周りの業界関係者に令子と親しいのを見せ付けて、名前を売ろうとする企みがミエミエだ
「厄珍… 私を利用すれば高くつくわよ?」
優しい笑みを浮かべつつ、厄珍の耳元で令子はささやく
「そんなつもりは無いアルヨ~ 私と令子ちゃんは友達ネ」
若干顔が引きつり気味の厄珍だが、さも親しげに周りに聞こえるように令子と会話する
「分け前はきっちり貰うわよ」
令子はもう一度厄珍にだけ小声でささやき、歩いてゆく
令子の周りにはそのまま何十人もの人が着いてゆくが、残った厄珍の周りにも数人の人が集まっていた
令子とは友達で、御用達の店だと言葉巧みに周りに話して商売をする厄珍
彼の名刺と粗品はこの後あっと言うまに無くなって、卒業式が始まる前にホクホク顔で帰って行く
一方会場に入った令子は、六道家の控室に行って挨拶していた
「おばさま、お久しぶりです」
「令子ちゃん~ 今日はよろしくね~ みんな令子ちゃんのお話楽しみにしてるのよ~」
作り笑顔で挨拶する令子に対して、冥菜は相変わらずの笑顔である
彼女の笑顔が本心からなのか作り笑顔なのか、令子には相変わらずわからなかった
「令子ちゃ~ん…」
ドドドドド……
そんな中、遠くから地響きのような音と令子を呼ぶ声がする
「ゲッ… 冥子!! こんな場所で式神出さないでよ! みんなで生き埋めになるのは嫌よ!」
式神達に囲まれて近寄って来た冥子に、令子は引き攣った笑顔で文句をつけた
「ごめんね~ 令子ちゃん」
ニコニコとした笑顔で話す冥子は、令子に会えた嬉しさでいっぱいのようだ
「オホホホ… 仲が良くていいわね~」
令子と冥子の様子を見て笑う冥菜
しかし、令子はそんな親子を一人で相手にするのに疲れていた
「令子ちゃん~ まだ時間あるからお茶に行きましょう~」
腕にしがみつき駄々っ子のようにお願いする冥子に、令子はため息をはきながら付き合っていく
どうやらプッツンだけは避けたいようだ
冥菜がそんな令子と娘の様子を見て、満足そうな笑みを浮かべていたのは気のせいでは無いだろう
その頃、別の控室では美智恵と西条が本番開始の時間まで休憩していた
美智恵は特にいつもと変わらない様子に見えるが、西条は素晴らしく機嫌が良い
横島が令子の事務所を辞めたことを知ってからは、ずっと機嫌がいいのだ
邪魔者が居なくなり、自分が勝ったような気分になっていた
(人の苦労も知らないで…)
そんな西条を見ていると無償にイライラする美智恵だが
横島を失った今、西条まで去られては困るので我慢していた
(いい年した大人なんだから、周りの人の気持ち考えなさいよね…)
相変わらず横島が相手だと妙にムキになる西条に、美智恵はため息をはく